134.バガボンド 井上雄彦

仏教の勉強にもなる漫画なんだな。

 

11.

お前の殺気が出会うものすべてを敵にする。

天下無双などと考えれば考えるほど見よう見ようと目を凝らすほど答えは見えなくなる。見つめても見えないなら目を閉じよ。

 

13.

不覚。この俺が心に戦いの用意もなく望んでしまった。

他人を無価値と断じることでほんのわずか自分の存在が確認される、いい気持ちになれる、そんな人間がいる

 

19.

わしの経験から言えばその臆病さ、強いものほど持っている。

死の際を知り臆病になり、なおかつ臆病を超えて前へ出ていく勇気、それが強さ。

臆病と強さは相反しない。

 

逃げるなら逃げる、前に出るなら出る、徹し切ることだ、それが覚悟というもの。

徹しきれぬもの、それは弱き者。

 

鳥は飛ぼうと思って飛ばない。

 

22.

どうやって勝ったのかも覚えていない。勝つべくして活には程遠い。

 

23.

十度戦って十度勝てる相手としか戦わぬこと。

 

25.

強い人は皆優しい

 

27.

人は弱い、群れればいつしか初志を忘れる。

 

30.

強さと美は同じもの。

心を開いて受け止めるならば、この世の全ては美しくてもともと。

 

35.

水の流れる先がどこか、流れの速さ、遅さ、水自身は決めていない、ただ従っている、川底の地形と、風や外からの力に完全に決められている、それでも水は水、どこまでも水、それでいて水は、それが故に、完全に自由。

 

37.

休むとかえって調子悪くなる、土に出て働いて、やっと人の毒が流れていく
何だ人の毒って、恐れ、迷い、こいつらにはない、人だけの毒

 

133.ボディブレイン 下柳剛

能力の向上は得た知識と比例するという。

観察能力に優れ、日常の些細なことから、普通の人なら見逃すような兆しまで読み込める人は、情報量を普通の人より飛躍的に多く獲得できる。

例えるなら名探偵のシャーロック・ホームズのように。

 

セルフイメージの拡大と比例するかのように成績も上がっていった。

 

自分はこんな人間だという思い込みに見合った現実がもたらされる。

夢を叶えたいのなら、セルフイメージを拡大すること。

 

人は誰しも自分の身を守るため、生まれつきの恐怖心を持っている。つまり、最悪の結果を想像するように元々できている。ならば無理やりプラス思考を心がけて「そうならないようにしよう」とするのは合理的じゃない。考えまいとすると考えてしまうのが人間の性であるならば、逆に最悪の場面から想起するんだ。

 

座禅で心を整えるようになってからは特に、頭では知覚できないような微細な兆しを体が感じ取ってくれたように思う。

 

その人がやってきたことや人柄の総体が運の正体といえるのかも。

 

鎌倉時代、武士階級の普及とともに禅は普及。剣の道に直接禅のお坊さんがまとまったアドバイスをしたのは江戸時代の沢庵和尚がおそらく最初。「心をいずこに置こうぞ」からはじまって、コレほど勝負について本格的にまとめられた本はありません。

不動智神妙録、前後際断

132.脳に効く「4時間!」短眠法 なぜ成功者ほど睡眠を短くできるのか 松本幸夫

そういう講師の目から見ても、「デキる」と呼べる人には、ゴロゴロと惰眠をむさぼっている人など一人もいないと断言していい。  デキるビジネスパーソンは、例外なくショートスリーパーである。  もちろん学者や芸術家の場合は、例外もあるだろう。たとえば天才物理学者アインシユタインは、一〇時間眠らないとどうも頭が働かないと言ったとされている


ちなみに、朝食だけでなく、一日単位で考えても「少食」がおすすめだ。  ズバリ、「少食」がいい。  絶食は体によくないし、力が出ず、頭がボーッとしてしまう。そうではなく、少食でやめる。つぎのようなメリットがある。

・意志が強くなる……食を減らすのは、意志がないとできないものだ。

・肥満対策……いうまでもない。

・活動的になる……体が軽くなる。

・感覚が鋭くなる……断食と似て、五感が冴えてくる。

・残留エネルギーを減らせる……「出す」より「入る」を制するわけだ。 「少食多動→短眠」という流れがあるのだ

 

131.15歳若返る脳の磨きかた 苫米地英人

しかし、見方を変えれば、新薬の開発費用を負担させるために、当局と製薬メーカーが抗がん剤治療に患者を誘導するというグロテスクな「絵」さえ見えてきます。  こうした「絵」は、いまやいたるところに見ることができます


たとえば、ヨーロッパでは禁止され始めた遺伝子組み換え食品を解禁しとしたり、健康被害がはっきりしている子宮頸がん予防ワクチンの接種を対象年齢の女子全員に推奨したり……。  それもそのはずで、国家あるいは資本主義というものは、いつの時代においても国民の犠牲を糧に太っていきます。盲目的に国や組織にわが身をゆだねているかぎり、私たちは永遠に質の高い人生を手にすることができないとさえいえそうです。  いまの時代は、何が自分の人生にとって本当のメリットか、その根本を考え直し、再構築することが求められているのです。


就寝する2、3時間前に、自分の腕や足、腹などに筋肉がつくというイメージをしっかりと頭の中で思い浮かべます。すると、睡眠中に、脳が成長ホルモンを活発に分泌するようになります。それを毎日くり返していくと、身体に筋肉が少しずつついてきま


このとき大切なポイントは、決して脳が衰えたために成長ホルモンが出なくなるわけではないということです。脳が必要ないと判断するがために、それは出なくなるのです。 


したがって、頭の中に筋肉が成長するイメージを定着させ、脳がふたたびホルモンをたくさん出すように導いてやれば、かつて身体を鍛えていたころと同様に筋肉がついてくるわけです


じつは、「生きたい」「生きよう」という考えを失うと、人間は死んでしまいます。すぐに死なないまでも、死期は必ず早まっていきます。  逆に、「私にはやりたいことがある。だから、明日が来るのが待ち遠い」と思う人は、簡単には死にません。たとえがんなどの重い病気にかかっていても、医者の予想をはるかに超えて死期を先送りしていきます。  これは何も私が勝手にそう考えていることではありません。上記と
ようなことは、世界中で生み出された数々の記録文学に多々述べられています。  たとえば、『夜と霧』で自らの強制収容所体験を記録した精神科医ヴィクトール・フランクルは、こう記しました。 《自分の未来をもはや信じることができなくなった者は、収容所内で破綻した。そういう人は未来とともに精神的なよりどころを失い、精神的に自分を見捨て、身体的にも精神的にも破綻していったのだ》(『夜と霧』より) 


私が日本代表を務める米国TPIとアメリカの労働省のデータでは、リタイアした人の平均寿命はリタイアから1年半となっています。我々はゴールを失うと1年半で死ぬと解釈しています


二度と生まれ変わることがないよう願って即身成仏するヨーガの行者と、この点で事情は何も変わりません。人間はみな自らの死を望んで死んでいく、ということです


脳が人間の死を決める。  とすれば、脳を若々しく働かせている人は肉体と精神の若さを維持し、なおかつ長生きをする、といえます。超長寿の時代の若返りとは、ひとえに脳の若返りの問題なのです。私達は心臓が止まれば死にますが、心臓が止まるのは脳が停止命令を出すからです


ところが、日本人は若いうちに、抽象思考をする機会を失います。ぼんやり講義を聴いていればいい大学は、その元凶の入り口に当たりますが、それ以上に問題なのは会社という存在でしょう。  会社というのは、じつはほとんど頭を使わずにいられる場所です。  経営者というものは、つねに命じるままに社員が動くことを期待しています。  彼らが社員に何を求めているか。  


いうまでもなく、少しでも売上を伸ばすことです。  経営者はそのために「創造性を発揮せよ」「オリジナリティを持て」と檄を飛ばしたりもしますが、多くの場合は政治的パフォーマンス、つまり虚構にすぎません。本音の部分では、へたに仕事の本質を見抜かれて疑問を抱かれてはまずいし、勝手に仕事のやり方を変えられても困ると考えています


気をつける必要があるのは、抽象度の低い、わかりやすい解説や説明には、必ずといっていいほど間違いやまことしやかな嘘が混入されていることです


たとえば、「増税しなければ国が潰れる」「日本は失われた20年を過ごした」「円安で日本経済は復活できる」など、財務省や政治家、産業界がのたまう言葉は、もはやれっきとした国民騙しの定番アイテムです。  こんな抽象度の低い思考の間違いさえ見破れないとしたら、「自分の脳は相当にバカになっている」と認めて、猛省しなくてはならないでしょう。しかし、脳が衰えてしまった日本人のほとんどは、あっさり信じてしまうわけです。  抽象度の低い思考につきものの誤りを見抜くことができるかどうかは、IQを高く保持することにかかっています。  その意味でIQの高さとは、ひとつ上の抽象度から物事を考えることがで


きるかという問題に還元できるのです


IQの高い人の脳の使い方は、大きく分けると2つの特徴があります。  ひとつは、単純な話かもしれませんが、IQの高い人は長時間の思考をしているという点です


長時間の思考といえば、学者や研究者にのみ許された特権のように感じるかもしれませんが、本当はそうではありません。  たとえば、はっきりとしたライフワークを持つ人は、10年、20年をひとつのことに費やし、その間ずっと考えつづけています。  


数カ月、あるいは1年以上の間ひとつのことを考えつづけるには、対象への尽きない興味と、たくさんの知識に基づいた抽象度の高い思考が必要です。  具体化することばかり考える習慣は、思考に費やす時間をどんどん短縮させる方向に働きます。具体化ではな


ドーパミンやアドレナリン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質についても、同じことがいえます。10代の若々しいころなら、黙っていても脳は神経伝達物質をたくさん出してくれました。しかし、社会に出て脳を使わなくなると、脳は途端に神経伝達物質をそうたくさんは出さなくなります。  神経伝達物質の放出が減れば、精神と肉体の活力レベルは当然、下がっていきます。  


老化現象の本質は、こういうことです。老化の原因は脳を衰えさせていることであり、光、酸化、乾燥ではないのです。塗り薬や飲み薬がこの老化のプロセスを、いったいどう改善するというのでしょうか。


IQの高さというのは、じつは読んだ本の数にほぼ正比例しています。たくさん本を読めば読むほど高くなるわけですから、IQを高める方法として非常にわかりやすく、取り組み方も単純です


なぜ本を読めばIQが高まるのか。  それは、知識のゲシュタルトができるからです。知識のゲシュタルトとは、ある事柄に関連するひとまとまりの知識という意味です。  すでに述べたようにIQの高さとは、抽象化の能力です。そして、私たちが抽象思考をするときの脳は、神経ネットワークの同時発火を起こしています。  抽象化を行うときは、記憶の中のたくさんの知識のゲシュタルトから、共通するシンプルな情報を見出すわけですから、そもそも知識がなければ何も始まりません


また、新たな知識を獲得することなく昨日までと同じ知識の状態を維持しているかぎり、神経ネットワークの同時発火も起こりません。なぜなら、昨日までの知識によって神経ネットワークは過去に同時発火を起こしており、それ以上に抽象思考を行おうとしても、抽象化が進まない状態にあるからです


私があなたに贈る課題は、月に100冊の読書です。  あなたは100冊と聞いて、驚きましたか?  毎日、3冊ないしは4冊読みつづける計算です。  私は、毎日20冊から30冊の本を読んでいます。 


1冊を読み終えるのに必要な時間は5分から10分ほどで、1日に平均して3時間くらいを費やします。私の事務所の様子を見ればわかりますが、Amazonでまとめて注文した洋書、和書がそこここにうずたかく積まれています。英語の本がほとんどなので最近はKindleを活用しています。私はそれを毎日、片っ端から読んでいくわけです。  ここでは、私のように読みなさい、というつもりはありません


これではいくら読んでも、知識のゲシュタルトは増えていきません。ただ自分の世界観を肯定する手段として、本を読んでいるからです。  それよりも読みたいと思わない分野の本を読んだほうが、知識のゲシュタルトづくりははるかに進みます。  なぜなら、読みたいと思わない分野の本は、あなたがまだ獲得していない知識の宝庫です。その本で展開される内容や主張は、あなたの考えとは大いに異なるかもしれませんが、それだからこそ価値があります。 


著者はおそらく、これまでのあなたにはまったく馴染みのない抽象思考を、そこに展開していることでしょう。その思考のプロセスをたどり、理解していくことが、あなたの思考をもうひとつ上の抽象度へ導く材料になります


大人の必読書とは、胸を張って人生を生きるなら、これくらい読んでいなければ通用しないというレベルの古典的な名著のことです。  たとえば、お金を扱う仕事についていれば、私はマルクスの『資本論』全巻を4回は読んでいなければおかしいという思いがあります。『資本論』を読まないで資本主義は語れません。読んでいなければ、自分の仕事がどういうものかわかっていないというに等しいのではないでしょうか。  じつは、こうした大人の必読書はたくさんあります。  著者をざっと挙げれば、ホッブス、ヒューム、バークリー、ジョン・ロックラッセル、カント、アダム・スミスケインズなど。何だかんだいっても、日本はつまるところ西洋文化です。にもかかわらず、西洋文化に対する深い知見を持つ日本人はそう多くありません。このままでは、いずれ日本の行く末を大きく見誤るのではないかと、私はいささか心配しています。  こうした著者の主要な古典を一覧表にしておきましょう。それぞれ最低でも4回は読んでおく必要があると思います


お仕着せられた自我というのは、定義がとても曖昧です。  一例を挙げれば、必要のないときに笑う人でしょう。無意識に、笑わないと間が持たないと感じるのか、笑ったほうが良い印象を与えると感じるのか、本人のことはよくわかりません。 


ただ、相手はその様子を奇異に感じます。必要のないときに笑うなんて、良し悪しや善悪についての判断の線引きもおかしいかもしれない。つき合いをするうえで、信頼に足る相手か訝って当然でしょう。  また、お仕着せの自我のまま年齢を重ねると、各状況における自我の定義ができなくなります。  これも一例を挙げれ
ホテルマンと自分の関係、隣の席で寛いでいる人と自分の関係、そして公共の場所に集う人たちと自分の関係などを省みるし、最低限の社会的礼儀を欠いてはいけないということもわかるでしょう。  自我の定義があいまいになっていくというのは、脳の究極の老化現象です。  自我をしっかりと認識する方法は、各状況下でダイナミックに自己観察をする以外にないのです。


私自身ネパールやインドでヨーガや密教の行者と交流して、私がたどりついた結論は3つあります。  ①なるべく栄養をとらないこと  ②酸素をできるだけ消費しない  
③激しい運動をしないこと  それではひとつずつ解説してきましょう


そのため、私たちは無意識に、食べすぎてしまいます。  つねに栄養過多であることはもちろん、食べるたびに近代工業化の代償としての重金属や汚染物質を体内に取り込まされます


じつは、私もあまり食べません。  私が何を食べているか少々紹介すると、こんな感じです。  ある日は、昼食にコンビニエンスストアの蕎麦を半分、晩飯は喫茶店のカレーライスを半分。ご飯はほとんど食べません。夜食にイカの足を3本
その翌日は、昼食にやはり蕎麦を半分、晩飯は出前のお弁当を半分。夜食はなし。  これが平均的な私の食事量です。日本人の平均的な食事量からすると、私の一日分は一食分くらいではないでしょうか。  栄養素が不足しているというかもしれませんが、身体に必要な栄養素は、これだけで十分にとることができるはずです


イカの足にも、蕎麦粉にも、出汁のつゆにも、カレーのルーや煮込んである野菜にも、お弁当の焼き魚にも煮物にも、ちゃんと栄養素は入っています。私は蕎麦をとくに好みますが、これは穀物というよりも野菜の一種で、たんぱく質を多く含み、ミネラルなども豊富です


無理に炭水化物をとる必要はありません。むしろ、炭水化物は、避けた
うが体調がいいという人もいます。私も、魚と野菜を少しだけ食べる生活をしていれば十分だと考えています。  私に栄養素の不足がないことは、毎日元気で健康を保っている私の身体が、一番よく知っています


ビジネスパーソンの何倍も働き、友人たちと語らい、論文を含め30冊程度の本を読み、趣味のギターをかなり弾き、アメリカのテレビドラマ観賞をしています。コンビニの蕎麦半分と喫茶店のカレーライス半分、そしてたまにポテトチップス3分の1で、これだけのパフォーマンスを毎日コンスタントに上げています。  ヨーガ行者が実践しているように、健康に長生きするには栄養が足りない
などと考えず、あまり食べないようにすることです


とすれば、私たちが身体の健康状態を保つ上で、避けるべきは、まず激しい運動でしょう。そして、やるべきことは、ゆっくりとした運動です。  ヨーガを参考に考えれば、身体の片側だけを使う運動も避けなければならないと思います。当たり前のことですが、身体の片側だけ偏って使えば、特定の部位に無理が生じ、骨や筋肉をより早く痛めます。  その意味で、欧米のスポーツは、利き腕を中心に組み立てられており、ゴルフ、テニス、野球などは、長寿には向かないスポーツの代表格です


抽象思考することこそが長生きの道です。  抽象思考する人以外は、寿命を必要としていない人なのです

 

130.できる人は超短眠 堀大輔

この調査報告が教えてくれるのは、夏と冬で睡眠時間が倍以上違っても、睡眠時間という概念を持っていなければ睡眠不足にならないということです


メアリー=カスケイドンは、陽の光が入らず、時計もない部屋で被験者を生活させる実験をしました。  2つのグループを用意し、いずれのグループともに3時間睡眠をとらせました。しかし、一つ目のグループには「8時間眠っていた」と伝え、もう一方のグループには「3時間しか寝ていない」と伝えました。  結果は、8時間睡眠と認識している一つ目のグループはほとんど睡眠不足を訴えなかったのですが、3時間睡眠と認識しているグループの全員が睡眠不足を訴えました。睡眠不足と睡眠時間の因果関係に疑いを持たせる実験結果だといえるでしょう


逆説的になりますが、現代の日本人こそ、睡眠時間は7時間でなければならないと思い込みすぎているために、不眠症や睡眠不足という症状が起こっているのです


そもそも、風邪のひきはじめや、最初にのどに痛みを感じるタイミングはいつでしょうか。多くの方は寝起きと答えるはずです。実際、受講生やセミナー参加者500名以上に対して同様のアンケートをとったところ、「起床時に風邪や体調不良が起こっている」という意見が7割以上でした


これについて、科学的にすべて説明が可能です。  まず、睡眠時は覚醒時よりも平均して1度ほど体温が下がります。人間は体温が1度下がると、免疫力が37%、代謝量が17%ほど低下することがわかっています。体温、免疫力、代謝量だけ見ても、起きている間よりも、睡眠時に風邪をひきやすいのは明白です。しかも、健康な細胞の代謝量は減るものの、多くのガン細胞は35度台の低体温時に最も活発に増殖することがわかっています。  また、睡眠時は酸素量や酵素の活動も低下します。体内の燃焼作用やデトックス作用がすべて覚醒時よりも減少するのです


水分量も一晩眠るだけで500ミリリットル~1リットル、身体全体の水分量のおよそ2%も減っています。覚醒時であれば、この状態は乾きを訴えるレベルです。また、水分の多くは汗として分泌するため、寝汗をかいている状態が継続します。寝具などの湿度が高くなってカビなどが生えやすくなるほか、表面温度の低下も招きます


そして、睡眠中には排泄することもできないため、睡眠時間が長ければ長いほど便秘のような状態が続いているといえます。  この状態で7時間もの時間を過ごすことが、いかに身体にとって悪影響かを考えると、睡眠中に健康状態が回復するという考えそのものが誤っていることを理解できるはずです。  では、こんなにも身体に悪い状態でなぜ眠るのか? と聞かれることも多いのですが、とりあえずここでは、睡眠による疲労回復や健康増進の概念をいったん取り外してください。


睡眠時間を短くすることで、血流が下がり滞留する時間を減らし、またドロドロの状態も軽減できるのです
その時間帯、すなわち睡眠時間が長ければ長いほど、覚醒時の活動も消極的になり、それが継続した場合、現代人にとって不利益な事態が発生することは想像に難くないはずです。 睡眠時間が長い人ほどウツに


ショートスリーパーは、モチベーションが消える睡眠時間を極力少なくすることによって、翌日までモチベーションを高い水準で維持しています。忙しい経営者や活発に活動している芸能人の睡眠時間が極端に短いですが、彼らはそうやって無自覚にモチベーションを維持しているのです。  お笑いの世界の一部では、夜に長時間寝る人は成功しないと言われているそうです。物理的な時間の優劣だけではなく、モチベーションやテンションの維持という点でも、短眠は理に適っていることを知っているのかもしれ
せん。  お笑い芸人といえば、ショートスリーパーとして有名な明石家さんまさんも、2008年に連載された「ほぼ日刊イトイ新聞」の対談で中学生時代からほとんど寝ないと語っていました。 「睡眠時間はかなり少なかったですねぇ。やっぱり、しゃべるのが好きで、つねにおもしろいことを考えようとしてるから、いっつもテンションが高いんです


上戸彩さんは透き通った肌や瞳で有名ですが、忙しいときの睡眠時間は2時間以下だったそうです。元AKB48の篠田麻里子さんも2時間睡眠といわれています。体脂肪率1桁をキープしているGACKTさんも3時間睡眠だ
そうです。叶姉妹も3、4時間の睡眠時間で活動しているそうです。市川海老蔵さんも舞台が立て込んでいるときの睡眠時間は1時間ほどになるそうです。 


つまり、睡眠時間が短いときにグレリンの分泌量が14%上がるということは、成長につながるという表現のほうが適切です


短眠で生み出せる時間は自由です。この時間を使えば、無限の可能性が広がります。年末に「今年もあっという間に終わるなあ」などとぼやくことはなくなり、「あれ? まだ今年だったの?」と感じられることは、体得した人にしかわからないほどの幸福感があります


私が会社勤めのロングスリーパーだったときには、1日16時間ほど働いていたので残業代を含めそれなりに収入を得ていました。そのお金でBMWアルピナを購入したのですが、1年で20キロメートルしか運転できなかったため、翌年には売ってしまった経験があります


ショートスリーパーになると、「時間が余ってしまう」という、多忙な現
代社会では考えられない悩みが出てくることもあるでしょう。このときに、ロングスリーパーに戻ることも可能ではありますが、睡眠による健康への負の影響を考えると、あまりオススメしませんし、実際ほとんどのショートスリーパーは戻りません


第3章の第2ステップでは、ほとんどダイジェストに近い形で短眠の習慣をお伝えしました。改めてまとめてみましょう。次の7つのルールになります。  習慣① 二度寝スヌーズ機能使用の禁止。  習慣② 自分の睡眠を記録する。  習慣③ 起床時間を固定する。  習慣④ 1日1回はパワーナップをとる。  
習慣⑤ 眠る前にストレッチをすることを習慣にする。  習慣⑥ 週に1~2回であれば、長時間睡眠OK。  習慣⑦ 本書を1日1回は広げて、短時間睡眠の知識を上書きする


つまり、起床時間を意識してから眠りにつくことによって、身体をコントロールすることが可能ということがわかりました。一方、起床時間を指示されなかった人はレム睡眠とノンレム睡眠がリズムを調整する現象は見られず、とても悪い寝起きになったそうです


もちろん、この圧力の効用を睡眠時に使うことができます。  上布団をかけたり、抱き枕を抱えると、大きな安心感が得られるのも、身体にかかる心地よい圧力によって、眠気が発生することが要因です。  パワーナップ時のように早く寝入りたいときは、背中にブランケットをかけるだけでも眠りやすくなります。  睡魔の発生する要因をただ排除するばかりではなく、なかなか寝付けないといったストレスがある場合は、あえて誘発するなどして睡魔をコントロールしてください


ともあれ、金銭的な問題以前に、部屋に観葉植物を置いてみたり、部屋の換気をこまめにするなどして、新鮮な酸素をつねに一定量に保つことを心がけましょう


つまり、もともと動物の世界では、睡眠とはすべき行動をすべて行ったあとに発生する余暇の時間に行われていました。何もすることがないときというのは、無駄なカロリーを消費しないように本能が動き、睡眠を促すようになります。  ニートや暇を持て余した方の睡眠時間が長い原因も、退屈な時間や時間を持て余すことが多いからです。忙しく働く経営者の睡眠時間が短いのは、余暇時間が極端に短いことが一つの原因になります。  


ショートスリーパーになるためには、長時間睡眠で生活している今以上に、行動数を増やしたほうが、達成に非常に有利になります。  それには手が空いたときに行うタスクを、シチュエーション別に分けて箇条書きにしておくことが大切です。つねに時間に追われるという感覚ではなく、自分がやりたいから、手が空いたときに楽しんで行うといった行為があればベストです


また、第5章でも説明しましたが、身体にかける圧力を利用することができます。何も身体に被せないよりもタオルケットをかけたほうがいいのですが、それでも暑い場合は抱き枕を抱えるだけでも気持ちが楽になります


人は受動的になると睡魔が発生しますが、逆に主体的になることで睡魔を軽減できます。 


A.満腹時は睡魔が発生するものです。また、コーヒーは眠たくなってから飲んでも睡魔を除去する効果はありません。カフェインは睡眠物質睡眠物質が受容体に吸着するのを防いでくれますが、吸着済の睡眠物質は除去できません。 しかし、食前にコーヒーを飲み、食後にPNをとることで、食後の睡魔を防止できます。非常に有効で、我々はこれを通称「コーヒーナップ」と呼んでいます


「人を大事にする」「自然を愛する」と口先で言うのは簡単ですが、昇ってくる太陽に腹の底から感謝の気持ちが溢れてくる方がどれだけいるでしょうか。私は、短眠生活をはじめてから、毎朝昇る太陽を眺めるたびに、胸が熱くなります。そして腹の底から自然に世界への感謝の言葉が出てくるようになりました。  この言葉の意味を、ぜひ体感によって、皆さんに知っていただける日が来るのを心待ちにしています

 

129.潜在能力を最高レベルに引き出す「変性意識入門・催眠編」 苫米地英人

催眠術は術者の腕もありますが、同時に被催眠者側の準備も重要なのです。  なぜなら、催眠とは自分で自分にかけるものだからです。言葉を変えればすべての催眠は自己催眠なのです


人間は自分の身体を守るために能力を解放しきらないようにリミッターを設けているのです。催眠はそれを解除することで通常では出ない力を発揮させています。  これが火事場のバカ力の正体ですが、リミッターは必要だからあるわけで、そこを理解しないと腕相撲マシンで腕を折る酔っぱらいのようになってしまいます。 


ですから潜在能力を引き出すときは慎重の上にも慎重をきしてやる必要があるでしょう。  できれば、術者に見てもらいながらやるのが理想です。  もちろん、慣れてくれば自分でコントロールしながら、潜在能力を解放することは可能になりますから、十分に研究、修行しておいて損はありません。


ホメオスタシスとは、身体の状態を一定に保つための機能で、具体的に言えば、暑くなってきたら身体から汗を出す、寒くなれば毛穴がしまって熱を逃さないようにする、といった外部環境に対する人体の反応です。  生物ならば必ず持っている生命維持の機能ですが、高度に脳が発達した人間は現実世界だけでなく情報空間にもホメオスタシスを適応させることができます。  サスペンス映画を見ながら手に汗を握る。酸っぱい食べ物を想像しただけで口の中にツバが湧いてくる。こういったことは情報空間に対してホメオスタシスが働いた結果で


さきほど紹介した小説を読みながら涙を流すこともホメオスタシスの適応であり、その際、スイッチになるのはそれが現実か、情報空間かどうかではなく、臨場感です。臨場感をより感じる世界に対して、ホメオスタシスは発動するということです。  つまり、脳にとっては現実世界と情報世界の区別はなく、臨場感を感じたほうに機能するだけだったのです。  だから、人はいとも簡単に変性意識状態になってしまうのです


要は、「おいしい」という味覚情報は嗅覚、視覚、聴覚といった情報を統合したものなのです。  ですから、甘いモノを酸っぱくする。その逆に辛いものを甘くする。おいしいものをまずくする、まずいものをおいしくするなどは、脳内情報の書き換えだけで簡単にできるのです


実は、人間は一旦、変性意識状態になってしまうと、誰でもとても素直になってしまうのです。言われたことをそのまま丸ごと受け入れてしまいます。  その理由をわかりやすくいえば被催眠者は、この時、幼児のようになっているということです。  どんな動物も幼児の時は親のいうことを聞きます。できる、できないは別にして親の言葉どおりにしようと最大限努力します。  なぜなら、そうすることが最も生存の確率を高めるからです。  つまり、術者の言いなりになる理由はただひとつ、動物としての摂理に従っているからです。変性意識状態とは素直な幼児の心で、そこに暗示を入れるから、それを実現させるべく全力で取り組むのです。だから、潜在能力が発揮されるのです


自分はダメな人間だという思い込みがベタっと貼り付いているのを剥がす。自分は気が弱い、自分には才能がないという思い込みを剥がす。そうやって、自分はダメだ、ダメだと言って回っている悪い思い込みを剥がしていき、こんなものは本当の自分じゃない、自分が作り出した単なる思い込みなんだということを理解していくものが催眠療法の概念です。  思い込みを剥がしていくと、最終的には素直で正直な素の自分が出てきます。自分の中から出てきた気付きが魂、良心であり、それが人を本当に癒やす力になります


催眠を極めれば極めるほど、すべての答えは自分の中にある、ということがわかります。本当は自分の身体も心も自分の好きなようにできるのです。それを通常は努力というような言葉で表します。東大生がなぜ東大に入れたのか? それは努力したからです。しかし、催眠術者の目から見ると、「しっかり思い込めたから」ということができます。いくら才能があっても思い込めないと能力は発揮できません。思い込めれば、自分が持っている力、潜在能力も含めて、最高の力を発揮することができます。  リソースはすべて自分の内側にあるということです。


病気でいえば、医者のほうにも問題があります。「今日は顔色が良くないですね」なんて言葉を平気で言ってしまう医者はうかつですよ。これはいわゆる「白衣の暗示」で、医者に言われたら、患者はそういう悪い暗示に引っ張られてしまう。だから、たとえそう思ったとしても、患者に向かって言ってはいけない言葉です。ボクは何人もお医者さんに催眠術を教えていますけど、「白衣の暗示」から教えます。 


催眠とは良いイメージを持ってやればこれほど素晴らしいものはないですよ。人生をバラ色に変えることが本当にできます。  その一方で、人間は悪いふうに考えてしまいがちなところがある。我々術者はそういう人を明るいイメージに持っていくことが仕事じゃないかと思っています。


もう1つ、東大生と官僚が催眠にかかりやすい理由は、言葉に対する感受性が高いということです。  基本的に彼らは情報の暗記を得意とします。情報とは言葉で構築されたものであり、特に受験勉強における情報は言葉そのものです。  彼らは言葉を暗記し、臨場感豊かに構築できたから受験勉強を勝ち抜けたのです。単に単語を暗記したままではダメで、暗記した単語を情報空間の中で立体的に動かせるぐらいになって東大に入れるようになります。単語を暗記しただけでは基礎的な問題しか解けませんが、立体的に動かせるようになると、高度な応用問題が解けるようになるということです。  私の見るところ、南先生の催眠スタイルは言語派で言葉を駆使して相手を変性意識状態に誘導するものです。言語に対する感受性の強い東大生たちを相手にして失敗したことはない、というのもわかります


催眠はあなた自身の人生を高めるために使えば、これほど強力なツールはありません。  仕事や勉強、スポーツなどすべての作業には、それにふさわしい意識状態があります。暗記に必要な変性意識状態、運動のパフォーマンスを上げるための変性意識状態、IQを上げるための変性意識状態など。こういったものは催眠の技術を使えば、簡単につくりあげることができます。それだけでなく、あなたの能力そのものを飛躍的にアップさせることもできるのです。  なぜなら、ほとんどの人が自分の能力を自分で「このぐらい」と決めているからです。なぜこのぐらいと決めつけているのかといえば、学校教育や、親からの教育によって、それ以上は無理だと言われてきたからです。  しかし、それは本当でしょうか?  そもそも教師や親はあなたの能力の限界をどうやって知ったのでしょうか?

 

128.税金洗脳が解ければ、あなたは必ず成功する 苫米地英人

皆さんもかつて疑問に感じたかもしれませんが、日本では消費税が3%かけられただけで100円のジュースが110円になり、5%課税されれば120円になりました。単純に完成した商品に対しての課税ならば、103円を経て105円になるだけのはずです。そうできなかったのは、それぞれの段階で消費税が課税されていたからなのです。これもまた、世界では例を見ない方法で


しかし、繰り返しますが、私たちは政治システムとして民主主義を採用しています。近代民主主義国家において、主権は国民にあります。つまり、国民が権力者たちをコントロールできるようになっているということです。  その最大のコントロール法が選挙であり、またコントロールするためのルールが憲法なのです。 さて、憲法とは、国民の権利を奪おうとする権力者たちの行動に制限をかけるため、国民が国家を規制する法だということが分かったかと思います。  ここまで来ると、私が「洗脳」と言った意味が明白なのではないでしょうか?  


憲法は国民が国家をコントロールするためのものです。  その憲法に、なぜ国民を縛る義務が書かれなければならないのでしょうか? そもそも憲法において、国民の義務などというものはないのです。  自分で自分の権利を制限するはずがありません


つまり、特別会計は、国が行なう特定の事業や特定の資金を運用する等の目的で設けられたものであり、それ以外は一般会計でまかなう、というルールになっています


ということは、「国債の償還や利払いが苦しいから増税する」という論理は、お金を借りた人が貸した人に対して「おまえから借りた借金が返せないから金をよこせ」と言っているのと同じなのです。  これって、おかしくないですか。  足りないからお金を貸してほしいと国民に頼んでおいて、その国民に対して借りた金が返せないから税金をよこせとは、どういうことなのでしょう。いったいどういう思考をしたら、こんなことが言えるのでしょうか。  日本国民は国債増税の二重取りというひどい目に遭っても、なぜかおとなしく唯々諾々と従っています。 


さて、実は数年前、この埋蔵金にメスを入れようとした人物がいました。平成15年の国会答弁で、当時の塩川正十郎財務大臣による「母屋ではおかゆを食って、辛抱しようとけちけち節約しておるのに、離れ座敷で子供がすき焼き食っておる」という発言がそれです。塩川氏は一般会計を母屋、特別会計を離れにたとえたのです。  これをきっかけに「特別会計」の見直しがはかられ、当時に比べればかなり簡素化されたようですが(中身の詳細が明かされていないので、あくまでも表面上の話ですが)、それでも一般会計よりもはるかに多い金額が特別会計という別の財布に入っているのです


資本主義において企業の目的は収益の最大化です。  企業の所有者は株主ですが、株主の目的が収益の最大化である以上、社長がどんな側近を置こうが、収益が上がるのであればOKです。むしろ、収益を上げる側近をどんどん登用せよというかもしれません。  しかし、この論理と政治の論理は違います。  シャドウ・ガバメントを認めてしまうことは、民主主義を根底から否定しているのと同じことなのです。 


あっても、選挙で選ばれていない人が国政に携わるべきではありません。  国民の幸せのために実現すべきすばらしい政策があるのなら、その政策を公約に掲げて選挙に出て、国民の信を問うべきなのです。  これは過去に選挙で選ばれた人でも、現職の国会議員でないのならば国政には関わってはいけませんということです。最近増えている新党などでは元官僚や元国会議員をブレーンとしている例も多いのですが、これらはすべてシャドウ・ガバメントの発想であり、やるべきではありません


それでも、歴代の国会議員の何人かは、特別会計にメスを入れようとして頑張りました。ところが、特別会計にメスを入れようとした形跡のある国会議員の何人かは、不審な死を遂げています。  最近ですと、中川昭一氏が記憶に新しいでしょう。  中川氏は財務大臣在職中、平成20年度の第2次補正予算や平成21年度予案において、財政投融資特別会計などの積立金を一般会計に繰り入れる方針を打ち出しました。  その後、全世界に放映されてしまったG7での酩酊会見がありましたが、それが2009(平成21)年2月、亡くなったのはこの年の10月です。  さらに、中川氏の酩酊会見のときに隣にいた篠原尚之財務官は、その後、IMFの副専務理事に就任しています。これはいったい、どういうことを意味するのでしょうか。  中川氏のお目付役としてそばにいたのに、日本の恥をさらすような酩酊会見を止められなかった篠原財務官は、日本の国益を損ねたとして、相当なおとがめを受けてもおかしくないはずです。ところが、そんな大失態を犯した直後に、大出世しているというのはなぜなのでしょうか。 


それはともかく、中川氏が特別会計にメスを入れようとしていたことと、不審死(表向きは自殺とされています)を遂げていることはまぎれもない事実です。  ちなみに、中川氏の父親、中川一郎氏も国会議員在職中に不審な死を遂げています


また、特別会計を徹底的に調査し、塩川元財務大臣の発言にも影響を与えたとされる当時衆議院議員石井紘基氏は、2002年10月に自宅駐車場で刺殺されました。右翼団体代表を名乗る男が警察に出頭して逮捕されましたが、不審な点が多く、別の犯人に暗殺されたという見方が未だに根強く残っています。  


実際、当時石井氏は特別会計を調査していました。  しかも事件当日、その調査内容が入っていたとされる彼が抱えていたカバンが現場からなくなっていたと、親族の方から話を聞いたことがあります。  さらに1998年、当時の日興証券への利益要求疑惑によって自殺したとされる当時衆議院議員新井将敬氏も、未だに他殺説がささやかれています。彼も特別会計の裏側を探っていたようです。  何やら陰謀論めいてきたと感じる読者もいるかもしれませんが、特別会計の中身を深く探って明らかにしようとした複数の国会議員が不審な死を遂げているというところまでは事実です。  日本の国家財政の闇の部分を明らかにしようとした途端、国会議員でも命が危なくなるのであれば、誰だってやりたくはありません。  


民主主義は多数決の論理ですから、多数で行動することで正義を守ることができます。いや、それしか正義を守る方法はないかもしれません。命懸けになるでしょうが、命を懸ける価値のある行動です。  物騒な話題になってしまいましたが、世界がお金で動いている現代において国家財政、税金という問題は、こうした裏の世界ともリンクしているようです。  規模が400兆円近くという桁違いのレベルですから、その利権は日本の深い闇と十重二十重と絡まって、幾重にもつながっているのでしょう。


ものなのです。自然人が公共サービスを利用するからこそ必要なのであって、法人が税を払う根拠はどこにもありません。  こうして見ていくと、法人税というのは、実は払う根拠がありません。  法人は一般的な公共サービスを受け得ないからです。法人は義務教育を受けませんし、病院に入院することもなければ、生活保護も受けません。  ではなぜ企業は法人税を課されてしまうのでしょうか。  それはこれが「恒久財源」だからです。消費税もそうですが、法人税も、一度課税してしまえば、課税対象がなくならない限り半永久的に取り続けられるお金です。つまり官僚の手を煩わせることなく、自動的にお金が入るシステムなのです。官僚はこういった、自分に有利な徴税先を見逃すことは決してしませ


日本人に世界的な大金持ちがいないのは、あまりにきつい累進課税のせいだと言われています。  稼いでも稼いでも税金で持っていかれてしまうので、大金持ちになれないのです。  終戦直後に日本の現在の税制の基礎を作ったのは、アメリカ人のシャウプという人ですが、彼は税制面において、当時のアメリカの意向を日本に反


させました。日本人が大金持ちにならないようにすることは、その意向の一つだったのです(これについては後に詳述します)。  所得税には累進課税を導入し、やろうと思えばできたはずなのに法人税累進課税を導入しなかったということは、「日本の法人(会社)が大金持ちになることは認めるが、日本人個人が大金持ちになることは許さない」という意思の表れです


日本人はちょっと違った考え方をする人が多いようです。まず、お金を儲けること自体をよくないことだと考える人が多いのです。でも、お金(あるいは別の富でもいいですが)がないと、隣にいる困っている人を助けられないはずです。  隣に飢えに苦しんでいる人がいたとしても、自分も飢えていたら助けられません。まず食糧をゲットして、それから分け与える話になるはずです。ですから、お金儲けは別に悪いことでもなんでもありません。  


スタグフレーションとは、先ほども述べたとおり、インフレなのに景気の拡大が見られない状態、つまり物価は上昇しているのに給料はあがらないといった状態で


さて、ではこの90万円分のお金はどこから調達するべきでしょうか。  すでに市場に出回っているお金は、それまでに生み出された富の対価として発行されたもののはずです。つまり、これまでに誰かが掘り出した金塊の対価として発行されたものです。  その市場に新たに富が加わったのですから、もし市場にすでに出回っているお金で調達したのでは、金塊の量(富)のほうが通貨の量よりも多いデフレ状態になってしまいます。  ですから、新たな金塊を掘り出したとき=富が生まれたときには、その分だけお金を刷る必要があるのです。実際の経済では、GDPの伸び率の分だけ、新たにお金を刷る必要があるわけです。  経済が伸びている(世の中の富の量が増えている)にもかかわらず、市場にお金が不足している状態がデフレです。  逆に、90万円の富しか掘り出していないのに、200万円のお金を刷ってしまうとインフレになります。相対的に富の量よりもお金の量のほうが多くなってしまうからです。  さて、ここまで分かったところで、復興財源の話に戻りましょう。  復興のために建物を建てたり、道路を造ったり、設備を整えたりすることは、世の中に新たな富を創出することにほかなりません。  


ということは、市場の富が増える状態になるのですから、お金の流通量も増やしてバランスを取らなければいけません。  このとき、すでに市場に流通しているお金でまかなってしまうと、お金の量よりも富の量のほうが多くなりますから(=富の量と比べてお金の流通量が足りていないので)、当然、デフレになります。新たに生み出される富の量が大きければ大きいほど、激しいデフレが起こることになります。  これを踏まえた上で、復興財源を税でまかなうとはどういうことでしょうか。  税とは国民が持っているお金ですから、税でまかなうということは、復興財源をすでに市場に流通しているお金から調達するということになります。  これでは確実にデフレが進み、復興規模が大きければ大きいほど、深刻デフレが起こることになります。復興支援は税で行なってはいけません。新たにお金を刷って、それを財源にしなければなりません


日本にもたとえば学習院大学が皇室御用達とか(最近はちょっと変わりつつあるようですが)、東京大学が官僚御用達といったことがありますが、アメリカの場合、その数も多く、影響力も強いのです(ちなみに、東京大学には公然の秘密としての「裏口枠」があると言われています。超上級官僚、大物政治家の関係者はその枠を使って入ることができるといいます。官僚養成学校として作られた東京帝国大学以来、あるいはさらにそれ以前からの伝統だそうです)


高額納税者だと分かれば、泥棒や強盗に狙われる確率も増えますし、怪しい儲け話を持ちかける人物も急に増え出すでしょうし、お金を貸してほしいなどと言って近づいてくる遠い親戚も現れるかもしれません。  いずれにしても、「自分はお金持ちだ」ということを世間に公表して、得することはほとんどありません。そうであるならば、人より多少お金を稼いでリスクを被るよりは、横並びでも良いと思ってしまう人も多いはずです。  こうした累進課税や長者番付などが典型的ですが、シャウプは日本人がお金持ちになるモチベーションを低くするシステムを構築していきました


このように、シャウプの作り上げた日本の税制とは、日本人をアメリカの工場労働者にし、アメリカに逆らうような財閥を二度と生み出させない仕組みになっているのです


実は、このようにして日本政府が吸い上げた税金がうまいことアメリカへと流れる仕組み(アメリカ国債を買わせて、償還させないなど)も同時に作り上げているのですが、当然、客観的な証拠はすっかり消されてしまっています。  私たち日本人は、そろそろシャウプの仕掛けた洗脳から脱するべきだと思うのですが、なかなか簡単にはいかないようです


「日本の国債のほうがアメリカ国債より格付けが下」などとは、借金を返してから言ってくださいという話です。  なぜ、債権国である日本の国債の格付けが低いのかというと、意図的に日本の国債の格を下げて、売れないようにしているからです。アメリカはアメリカ国債を買ってもらいたいので、ライバルとなりそうなものは意図的に売れないようにしているわけです。  日本の国家財政安定化後も、こうした各国の嫌がらせはあるかもしれませんが、プロの投資家なら本当のことが見えているはずなので、必ず安定した日本の国債を買いたいと思うはずです。


デリバティブというのはもともと将来のリスクに対するヘッジとして生まれたものです。先物取引が典型的ですが、将来の価格変動リスクを抑えるために、前もって、ある程度の売買を決めておくわけです


私たちは監視の目を逸らしてはなりません。  本書を読み終えたあなたは、国家は国民を搾取するものだということ、日本の税制は搾取しやすいように整えられているということを知ったはずです。  そして、国家は私たちにくらべてほんの少しだけ抽象度の高い煩悩を持っているからこそ、搾取が可能なのだということも知ったことでしょう。  だからこそ私たちは、国家を監視し、国家の煩悩よりさらに抽象度の高い煩悩でもって、国家に立ち向かわなければなりません。


「私のお金が搾取されるのが惜しい」という煩悩ではなく、たとえば「子どもの時代、孫の時代に彼らが国家に搾取される世界であってはならない」という視点を持って、誰もが国家の搾取に対抗しようという意識を持ってほしいと思います。  最後にもう一度言いましょう。あなたは国家の搾取から解放されることができるのです。あなたはもっと豊かになれるのです。決してあきらめず、現状のコンフォートゾーンの外に踏み出してください