289.あり金は全部使え 貯めるバカほど貧しくなる 堀江貴文

もっと遊ぼう。金を使おう。
預金残高は、自分がいま失っている、たくさんの機会の総額だ。
食に金をかけよう。
不安を消せるのは、思考の密度だ。

いまや、キリギリスのように「好きなときに好きなだけ食べて」も、まったく困らなくなっている。もはや食糧は重要な基準ではないのだ。物質的に豊かになったこの時代、驚きや感動、

 

快適さなどの付加価値に対価が支払われるようになった。  となれば、現代社会において価値をもって求められるのは、アリの生真面目さよりも、キリギリスの「いまを謳歌する生き方」だ。  これはもはや、疑いようのない圧倒的な事実になって

 

真面目に働く勤勉さももちろん有用ではある。しかし、楽しみや遊びを周りに提供する才能は、それと同じ価値どころか、今後はその価値をますます高めていくだろう。  アリもキリギリスも、どちらも飢えず、幸せに暮らせるのが、本当に成熟した社会だ。  僕たちは、もうその社会を生きている。  古い寓話のメッセージを教訓にしていたら、蓄えの呪縛からは逃れられ

 

生きていくために、蓄えは必須ではない。  それどころかむしろ、それは人生を萎縮させる。  備えてばかりの人生を送るアリたちが、音楽や踊りの上手い楽しい友人をも失って、その後も幸せに生きられているとは、あまり思え

 

銀行などの機関に預けているお金は、銀行に対する債権だ。  貯金は、いざというときのための資金だというけれど、多ければ多いほど、それだけ誰かにお金を貸して、あなた自身の人生の幅を狭めているのと同じなのだ。  貯金は生活の安心につながると、大人は言うかもしれない。しかしその金額ぶん、債権者としての負担を増やしているのだ。それがなぜ安心なのだろ

 

お金を使って得た経験は、社会に出てから、いろんな場面で役に立った。コミュニケーションのレベルも、出会う人のランクも高くなった。  貯めていれば、国内の 40 代のビジネスマンのなかでは指折りの富豪になっていたかもしれない。でも僕にとっては、貯金額を増やすより、そのときにしか得られない出会い、興奮や、体験を積み重ねることの方が、はるかに大事だっ

 

の得てきた体験は、いま同じ額のお金を投じたところで決して得ることはできない。貯金は目先の不安を多少取り除くのかもしれない。しかし時間を買い戻すことはできないのだ。  いまという時間を楽しみ尽くし、後悔のない人生を送るために、お金の活力を信じて、好きなだけ使ってしまおう。  貯金にとらわれ、お金の活力を死なせてはなら

 

身体は大人になっても、行動の欲求は、3歳児レベルでいいと思う。  3歳児は、ご飯を食べていても興味がころころと移り変わり、ご飯をこぼして親を困らせる。好奇心を抑えられず、道路で走り出して、ケガしたりする。それで全然いいのだ。  3歳児は、やりたいことだけでできている。だから、親や周囲の人たちに、愛されるのだ。「自分の

 

に制御をかけて、やりたいことを全然やってない」という3歳児を、あなたは可愛いと思うだろう

 

子どもは、いまがすべてという気持ちで生きている。だからすごいスピードで成長を遂げる。将来の安定など、いまここにないものにとらわれてはいけ

 

やりたいことをやればいい。  そうすれば、気づいたときには、周りの人が驚くほど進歩しているはず

 

移動を続けながら快適な生活を維持するには、ホテル住まいがベストだと言える。ある程度の稼ぎがあって、物の所有欲が極端に少ない人には、ぜひ薦め

 

いうより、熱中できる何かをたくさん見つけ、やりたいことをこなしまくっている毎日を過ごしいれば、自然に家なんかいらなくなると

 

作家で僧侶の 向 谷 匡 史 さんは、こう言っている。 「人間関係というのは、自分という船の船底にこびりついたフジツボや牡蠣殻のようなものだ。人生という海原を渡っていくうちにどうしても付着してしまうものですが、気になるなら自分で削ぎ落とせばいいんです」  そのとおりだ。僕たちは人生という船を、常に前に進めていかなければいけ

 

お金に対して誠実でない人間は、航行の邪魔になる。ためらわず削り落とそ

 

は面白いことに囲まれて生きている。やりたいことが尽きない。  面白いことを片っ端からやっていくと、やりたいことが倍々に増えていく感覚だ。 「面白い」と「やりたい」の循環に入れば、時間はいくらあっても足りない。だから何よりも時間の抽出と最適化に努めている。お金なんか、どうでもいい。  面白いことを逃したり、チャンスを失うのが、僕には最大の痛手だ。  そうならないよう、常に遠くへ出かけ、新しい情報を浴び、多くの刺激的な仲間たちと会い、感度のバージョンアップに努めている。  面白いことがない、という人は

 

それはシンプルに、感度が低いからだ。 「やる」ことを重ねていない。「挑み」を実践していない。  だから、情報のアップデートはできないし、会う人は限られ、つまらない現在をわざわざ自分で、固定してしまっている。面白いことに出会えないのは、当たり前

 

結婚して恋愛市場から降りたオヤジに、仕事のできる人は皆無

 

勘違いしてはいけないが、愛妻家がダメと言っているわけではない。優秀な人は総じて、妻にもモテて、他の女の子にもモテまくる。  英会話スクールでも、英語講師と恋人になってしまうような人が、英語能力は高いの

 

飲み会にも当てはまる。  大学のサークルなど、昔の友だちの飲み会は無視でいい。  でも、ビジネスでつながり、少しでも面白い! と感じた人が誘ってくれた飲み会には、できるだけ参加しよう。行ってみて、つまらなかったら、二度と行かなければいいだけのことだ。  思いつきと出会いに乗じて、まずは行動してみる意欲が

 

今後、投資すべきところは、遊びだ。  テクノロジーの進化によって、すべての人に膨大な余暇が生じ、遊びが人生の中心になる時代は、遠くないうちに実現する。  遊びを知らなかったり、遊びの種類が少ない人は、貧困層と同じような苦しい人生を強いられるのではないだろう

 

株をやっている余裕があるなら、もっと遊びにお金と時間を費やしてほしいと

 

僕がインターネットのビジネスで成功したのは、他の人よりも知識が高かったからではない。他の人よりも徹底的にハマり、遊び尽くしたからだ。  僕よりパソコン好きな人はたくさんいたと思うけれど、僕ぐらいハマった人は、ごく少数だと思う。昔よく、なぜ堀江さんは会社を大きくできたのですか? と聞かれたが、「ビジネスにハマッた」からです、としか答えようが

 

ふだん持ち歩くのはスマホ以外では、自動車運転免許証、小型船舶操縦士免許証、健康保険証、クレジットカード3枚、キャッシュカード2枚、PASMOと少しの現金。これだけで充分だ。買い物も食事も不自由は

 

イギリスの研究によると、満員電車に乗っているストレスは、戦場の最前線の兵士が抱える精神的負荷と、ほぼ同じなのだそうだ。そんな苛烈な負荷に耐えられるほど、快適で素晴らしい家に、みんな住んでいるのだろう

 

僕は、国内の移動では、ほとんど電車に乗らない。起業した直後は経費節約で、電車移動が中心だったけれど、ある年長の人に言われた。 「移動は、タクシーを利用しなさい。タクシー代をケチるような仕事はするな。もし君の仕事が、時給換算してタクシーに乗れないような稼ぎだったら、その仕事に価値はない」  その言葉のとおりだ。  僕は移動費をケチることで、時間という最大の資源を、無駄遣いしてしまってい

 

電車に乗るいちばんのストレスは、仕事をする気が減退することだ。  スマホもパソコンも使おうと思えば使えるけれど、いろんな人が疲れ果てた顔で乗り合わせて

 

あの環境で仕事をこなす気持ちを維持するのは、かなり難しい。満員電車ならそもそも、スマホを見ることもできないだろう。  より質よく、多く稼ぐために、移動や住まいには、あえてお金をかけよ

 

大きな話になったが、要は現金に執着している意味なんか、ほとんどなくなっている時代になっていることを、きちんと知ってほしい。  お金の価値は下落中で、上がり目は当分ないだろう。  お金よりはるかに貴重な資産は時間だ。  時間を有益に、成熟した使い道をしていける者が、評価される。結果的に経済的な成功者以上の見返りを得られるのだ。  わずかの手数料にとらわれ、行列に並ぶような愚行は、きっぱりやめよ

 

僕がそこに浪費をいとわないのは、純粋に美味しいものが好きだから。  もうひとつは、人生を楽しくする投資として、リターンが良いからだ。  食は文化であり、歴史を知ることができる。例えば中国で料理技術が発展したのは、中国皇帝の権勢の顕示欲が背景となっているとか、日本での発酵食品の発達には、湿度の高い国土で保存の利く料理をつくりだす必要があったからなど、料理と歴史は密接に関わっている。  美味しいものを突きつめていけば、歴オタの道にも通じるのだ。  ワインや日本酒など各国のお酒の歴史や蘊蓄も、ずいぶん学べた。これらは後に小説を書くのにも役立って

 

酒食にお金を費やすことで得られる一番のものは、幅広い人間関係だ。  美食の場には、経済的な成功者が集まっている。彼らとの新鮮で刺激的な会話も、ご馳走だ。  またグルメ好きは、分野の垣根を越える。仕事しているだけでは出会えない、各界の著名人やタレント、インフルエンサーと知り合えるのが

 

僕は毎晩のように、彼らと酒席を囲み、魅力的な情報を教えてもらい、しばしば熱いディスカッションを交わしている。  新しい発想が生まれ、ビジネスを立ち上げる機会にもなる。TERIYAKIアプリや、WAGYUMAFIAの活動は、酒食にお金を投じた長年の経験の賜物

 

投じた以上の機会創出と、知識を満たすリターンが得られる。そして何より、あなたのブランド価値を高める。  安くてそこそこ腹を満たせる、ひとりメシを続けていると、その回数ぶん、ライフステージを上げるチャンスを失っているのだと気づいて

 

僕は、ランチではうな重を食え! と言いたい。  それもチェーン店の数百円のうな重ではなく、浅草や日本橋など、老舗店のうな重を食べてほしい。5千円以上するが、その金額ぶんの学習代金だ。  ランチに老舗のうな重を食べられる人たちは、まずお金持ちだ。会話のレベルも高い。そういう人たちに囲まれる環境に身を置けば、思いがけない出会いのチャンスが増える。 「ランチに、名店のうな重食べてるの?」「面白いヤツだ。別の店にも連れてってやるよ」など、声を掛けられるようになる

 

ゴルフはもちろん、沢登りや音楽フェスなど、体力を使いまくる遊びも大好きだ。  歳は 46 歳になるが、 20 代から体力の衰えは感じていない。セックスも好きなだけ、楽しめて

 

メールマガジンなどで書評を書いているので、新刊の本を定期的に読んでいる。  また会食中に、面白い人の本が売れていると聞けば、その場でAmazonで注文して読む。多忙な起業家たちのなかでは、割とこまめに新しい本を読んでいる方だろ

 

一方で、思考の筋肉の鍛錬は、読書がベストとは限らない。  いけている人に出会って面白い話を聞いたり、めずらしい場所へ行って面白い体験を重ねれば、脳は活性化される。何より、

 

洋服の置き場所は、かなり多くの人の悩み事だろう。洋服は買うのではなく、レンタルシェアが

となる時代は、そう遠くないはず

 

大人になると、友だちができづらくなるというが、そんなことはない。  仕事でも遊びでも、いつもと同じ状態を意識的に避け、新しい試行錯誤や挑戦を重ねていくと、自然と出会いの縁は広がる。友だちづくりが下手だと自分で思っている人は、性格が原因ではなく、ちょっとした動きだしが、足りないだけだろ

 

仲間は、意識的につくるものではない。  自由に、好きなように動いていると、同じような動きをしている人と同期して、勝手につながるもの

 

食事は、そいつが面白いヤツかどうかの、見きわめに役立つのだ。  美味しさを伝える喋りの上手さや、食べるときのふるまい、座の話の回し方で、頭の良さが見測れる。会話で持っている情報のレベルもうかがえる。  メシに呼ぶといつも面白いなというヤツは、だいたいビジネスでも成績をあげていくものだ。逆

 

食事時にぜんぜん面白くないヤツは、仕事の方もうまくいかない。二度と呼ばないで、関係を切ってしまう。  新しい仲間づくりに、会食はけっこう効率的に機能する。メシは、相手の地位やキャリアにとらわれず気前よくおごって、いい仲間とつながろ

 

金持ちを目指すというスタンスは、いま主流になりつつある評価経済社会では、ひどく損をする。  別に金持ちを目指す生き方を全否定しようとまでは思わないけれど、そんなヤツはモテない。  どんなビジネスを手がけようと、どんな発信をしようと、モテない。  稼ぎの総量は、限定的

 

お金持ちなんて目指さず、「あいつと一緒にいたら何だか面白い!」と言われる、行動的な人生を選んでほしい。  結果的に、お金にとらわれない、マネーフリーな人生を過ごせるようになるだろう。  お金持ちになりたい欲は、不安の裏返しだ。  豊富な資産が、もしものときや、働けなくなったときの不安を、解消してくれると信じている。仲間や恋人に恵まれるためには、お金持ちになるのが早道だと思いこんでいる。ある意味では間違いではない。お金は、多少のトラブルや不安を解消してくれる役割も果たしてくれる。  だがそこに、何に使うか? 何をしたいのか? という、本質的な問いが欠けていたら、いつまでも不安は消えない。何億円貯金しても、不安に怯えているはずだ。  やりたいことに、真剣にハマッていれば、お金の不安は消えるものだ。  ハマりきれない自分の中途半端さを、お金持ちになるためという言い訳でごまかしてはいけない。  不安を消せるのは、思考の密度だ。貯金通帳の残高の多さでは

 

何度でも言う。お金はぜんぶ使ってしまおう。貯金なんか必要ない。  貯金は人生のバランスを取るための、最たる行為だ。  多少の貯金をしたぐらいで、整うようなバランスなんか、何の頼りにもならない。  僕はいろんなところで「肩書きを3つ持てば100万人にひとりの存在になれる」と言っている。100万人にひとりの存在になるためには、アンバランスな行動力と、行動を支える時間とお金の投資が必要だ。  ハマッたことに、惜しみなく資金を投下しよ

 

お金より、人を大事にしなさいと、浅い道徳論を展開したいわけではない。  信用順位の上位にお金を置いていたら、お金に使われる人生となる。それは見知らぬ他人に使われるのと同じ、ひどくつまらない人生だと言いたいの

 

立体的思考を養うには、多動力が役に立つ。  僕は毎日、睡眠以外の時間は、分刻みのスケジュールで過ごしている。  複数のタスクを同時処理しつつ、多くの人と会い、遊び、飲んで笑って、日々を送っている。ぼんやり、のんびりしている時間は、ほとんどない。  忙しいビジネスマンは、たまの休日には何も予定を入れず、ボーッとしているというけれど、何が幸せなのだろ

 

一瞬を楽しみ尽くし、いまに集中して生きる。  そうしていれば、何もしない時間が、ひどくもどかしいはずだ。  時間を使いこなす機会をおろそかにしている怠慢を、よしとしている思考回路が、僕には理解でき

 

ニュースキュレーションサイト「NewsPicks」で以前、批評家の 宇野 常 寛 さんが、次のようなことを述べていた。 「工業社会におけるホワイトカラーの遊びの文化は、 20 世紀にすでに完成されてしまっています。でも、 21 世紀の新しいホワイトカラー層、または知的層の遊び方って、まだ十分には確立されていないんですよ。  そこに関しては、日本から何か面白いことを実験する価値があるということを、堀江さんは本質的にわかっていて、自身でいろいろ実験しているように見えるん

 

未来を考えることに意味はない。  未来思考はいらない不安を生むだけで、行動が制限される。  ゴールに向かって、頑張ること自体は悪くない。だが、頭で考えたゴールは、ほとんどの場合、それ自体が目的となってしまう。設定ラインを越えなければ失敗という、ネガティブなマインドを生み、それ以外の選択や可能性が、見えなくなりがち

 

貯金通帳を、開いてみよう。残高の数字は、あなたの生活の安心を保証しているものだと思う。だが、本書を読んだ後では、どうだろう?  その残高は、あなたがいま失っている、たくさんの機会の総額だ。  人は死ぬときに、やったことよりやらなかったことを、より深く後悔するという。  お金も同じだ。  僕は自信を持って言う。使った後悔より、使わなかった後悔なのだ