285.実験思考 世の中、すべては実験 光本勇介

すごい発想力。

 

なぜ外資だったのか。  日本の広告会社の仕事はいわゆる「メディア売り」です。メディアの枠を売って、手数料から利益を得る。ようするに、広告スペースの不動産屋さんです。  一方、海外の広告会社はマーケティングの色が濃い。メディアを持っていないので、弁護士みたいに「時間を売る」ような仕事です。よって、よりピュアに「お客さんのビジネスのための

 

という観点で、その事業に携わることができる。メディアは広告会社が選びます。  そういう違いがあるので、広告会社に入るのなら外資のほうがいいと思ったの

 

お金を軸にしていろいろな業界を見ていくなかで、「消費者金融」という業界がアップデートされていないことに気づきました。  需要は拡大しているはずなのに、市場は小さくなっている。これはまったくもって健全ではない状態です。しかも、イメージが悪すぎて消費者金融のユーザーは 20 歳以上で7人に1人しかいないと聞いたことがあり

 

世の中のあらゆるWEBサービスも「人を疑う」ことが前提です。悪い人がいることを前提に考えられている。「ログイン」もそうです。ログインして入るのは、悪い人がいるかもしれないから「本人チェック」をさせるわけです。  よって、そもそも「人を疑う行為」をなくしたら、相当なコストがセーブできるでしょう。統計的に、悪い人といってもおそらく100人に5人くらいではないでしょうか。  どのくらいの割合で悪い人がいるか、その実験もせずにあたりまえにビジネスが作られている。悪い人5人を排除するために、いい人 95 人に無駄なチェックをさせているの

 

そこで人を疑わずにセキュリティもガバガバに緩くして、全員にサービスを提供したらどうなるでしょうか? チェックをせずに全員を全力で信じる。  5人くらいは悪い人がいたとする。でも、悪い人がもたらす「損害」よりも、 95 人がもたらす「利益」のほうが、人を疑うことのコストを上回れば、ビジネスとして成り立ちます。人を疑う行為をスキップできる。これが実現できれば、みんなにとってハッピー

 

また、 流行っているものにはなるべく触れるようにしています。メジャーなサービスや新しいモノもいちおう全部知るようにしています。流行るものにはかならず理由があり、それがマスの人たちの感覚だから

 

逆に、最先端すぎる、めちゃくちゃ新しすぎるものには触れません。インターネット業界には、ブロックチェーンや仮想通貨、AIなどのテクニカルで「まだ大衆的ではない」ものに関するニュースもあふれていますが、そういったものもあえて読まないようにしています。あまり詳しくなりすぎると、「普通の人」ではなくなってしまうから

 

具体的にやっているのは「iTunesのトップ 10」を毎月かならずダウンロードしていたり、

 

ニュースはヤフーニュースのトップページをチェックしていたり。そうすることで「マスの人たちの感覚」を知ることができるのです。  ただ、それを明確に言語化するようなことはしません。「ふーん」という感じで、単純に触れてみて、その状態で置いておく。いちおう自分も体験して知っておく、くらいの感じ

 

まず、ユーザーは自分のレントゲン写真をアプリでアップロードします。  アプリでアップロードされた写真は、たくさんの若いお医者さんたちが見られるようになっています。お医者さんたちは、アップロードされたレントゲンの写真を見て、「健全」もしくは「健全ではない」というボタンを押します。お医者さんなので、画像を見ればおそらく一瞬でわかるはずです。しかも複数のお医者さんに聞けば、そのパーセンテージもわかります。「100人中 99 人は健全と言っています」といったことがわかるの

 

ぼくの会社の人たちやインターネット業界など、この界隈の人たちはリテラシーが高すぎるのです。頭もいいし、所得も平均と比べると高すぎる。ツイッターでフォローしている人たちも、小難しいことを考える、頭がいい人ばっかりです。  だから「それが世の中だ」とつい思ってしまう。ちゃんと「いま見ているのは世の中の0・001%なんだ」と意識しないと、その他の 99%以上の人たち向けのサービスが作れないの

 

ちなみにぼくは人に相談をしません。 「人に相談しない」というのは「自分の感覚を大切にしている」ということです。人に相談すると、自分の考えがブレてしまう。それがイヤなの

 

オランダあたりには「無料の売春宿」があると聞いたことがあるのですが、おもしろいビジネスモデルだなと思ったことがあります。  男の人がそこに行くと、タダでサービスを受けられます。なぜタダで受けられるかというと、月額5000円ほどの会員制のサイトがあって、その行為をしているところがライブ配信されるようになっているのです。  いわばお客さんが「出演者」のようになっているわけです。映像はダウンロードできないし、ライブ配信の生放送のみだし「無料なら、まぁ、いいか」というわけで男の人はそこに行ってしまう。  売春宿で働いている人も、「他の1・5倍の給料を出してくれるからいいや」となる。みんながハッピーになる仕組みなのです。これを知ったとき「すごい!」と思いまし

 

アメリカには、 24 時間ノルウェーの川のなかをライブ配信するというサービスがあります。月額5ドルほどで数百万人ほどのユーザーがいます。これは、ただ川のなかをライブ配信しているだけなのですが、ノルウェーの川のなかのサーモンが見られるのです。そのサイトに、世界中のサーモン好き数百万人くらいが毎月5ドル払っているのです。配信業者は、川にカメラを置いておくだけで一生食べていけるでしょ

 

ZOZOの前澤さんは、外から見るとイケイケで大胆なイメージがあります。しかし、前澤さんと一緒に働いてみると、実は「石橋を叩いて渡る」タイプだとわかります。いつものらりくらり考えているのだけれど、「これをやる」と決めたらびっくりするくらいのフルスイングをします。  だから前澤さんは「やらない」と判断することが圧倒的に多い。やらない、やらない、やらない、やらない、やらない……。そして「これだ」と決めるとフルスイング、という感じ

 

1ヶ月に1回検査をしたら、治る確率は上がります。がんの種類によっては難しいものもあるかもしれませんが、ほとんどのがんは早期発見すれば治せるはずです。相当な数の人の命を救えると思うのです。  こんなにがんで人が死んでいるのに、1年に1回しか人間ドックに行かないというのは、とてもナンセンスです。がんの検査を、時間をかけずに、超カジュアルに、安く、究極的にはタダで、マスの人たちにしてもらえるサービスを提供できたらいいな、と思ってい

 

多くの人は医療の検査を「高額なのがあたりまえ」「年に1回くらいがあたりまえ」「1日かかるのがあたりまえ」だと思い込んでいます。でも、そんな常識にとらわれる必要はないのです。 「人間ドックは月に1回、検査キットに唾液を垂らすだけ」という時代が来るかもしれません。結果はアプリに表示されて、つねにスマホで、無料で健康管理をすることも不可能ではありません。検査をするたびに献血のように特典やお金がもらえたらさらに楽しいです

 

2・従業員に対して「貸金サービス」を提供  従業員のなかには、「お金を一時的に借りたいけど、消費者金融は怖くて借りにくい」と思っている人も多いはずです。そのような人たちに対して、融資サービスを提供し、金利でビジネスをしていきます。  従業員にとっては自分が働いている会社から借りるという安心感もあるし、会社側もすでに働いてくれている従業員ならばデフォルト(融資の踏み倒し)をする率も低いだろうと想定でき

 

オフィス内でお菓子を売る有名なサービスに「オフィスグリコ」がありますが、年間 50 億円以上の売上があるそうです。オフィスグリコはお客さんが来てくれるのを待つ「受動的」なビジネスですが、ワゴン販売のようにデスク横まで行ってコーヒーを売るような「能動的」な販売方法にするだけで、オフィスグリコの数倍の売上はすぐ作れるのではないかと目論んでい

 

だからぼくは「お腹空いた!」と思ったら「ランチ」というボタンを押して、自動的に「今日はラーメンを食べてください」と言われたいのです。アプリにはだいたいの予算やNGの食材だけをあらかじめ入れておきます。そうすると勝手に選んでくれるのです。  そのうちラーメン屋さんを探すのも、めんどくさくなります。アプリは「エレベーターで下りてください」「まっすぐ行ってください」「右に曲がってください」「そこで食べてください」と誘導してくれます。アプリに言われるままに食べる。ゾンビのようでイヤだなと思うかもしれませんが、絶対にそういう時代になっていき

 

よくも悪くも、世の中は圧倒的に便利になってきていて、消費者は思考を巡らせるのがめんどくさい人であふれてきています。  どれだけ頭を使わないで、いままでの世の中を再現できるか。ぼくはいつもそこを意識しているの

 

働かなくなれば、みんな暇になっていきます。その暇をつぶすためのサービスは人気になるでしょう。昼の3時に仕事を終えて、その後は全部エンタメの時間です。  堀江貴文さんは、ミュージカルをやっている理由を「絶対にみんな暇になるから、能動的にお金を払うのはスポーツか演劇かカラオケくらいになる」とインタビューで言っていまし

 

ここで伝えたいのは、医療技術やテクノロジーの変化の速いいまの時代は、何か一つの商品が発明されるだけで大きな市場がいきなりなくなってしまうということです。  もし本当にスポーツがなくなれば、フィットネスジムやサプリメントなどスポーツ関連産業の相当数が一気に消えます。どんな市場でもいきなり変化を迫られる可能性があると頭に入れておく

いいかもしれませ

 

ぼくはまず、大きな時代の流れを「鳥の目」で見ます。すると、「人は思考しなくなり、所有しなくなる」など、未来のかたちがおぼろげながら見えてきます。  そして、「虫の目」で普通の人が日常的にどんなモノを欲しているのか感じるのです。すると、日常的に使われる新しいサービスのかたちが見えてきます。  それが見えたら、そのアイデアや仮説を実行してみて、検証します。そこで何が起きるのかを観察してみるのです。  先の見えない時代、混沌とした時代は、普通の人にとっては不安な時代かもしれません。しかし、実験思考の人にとっては、これほどおもしろい時代はありませ

 

堀江貴文さんもロケットを飛ばすために何十億円と使っていますが、まだまだ足りないと思っているでしょう。ZOZOの前澤さんも心から「お金がない」と言っています。「本当に足りないんだ!」と心から言うのです。「いやいや、資産が3000億もあるじゃないですか」とツッコみたくなりますが、きっと他人から見るとぼくも同じように見えているのかもしれませ

 

堀江さんや前澤さんがよく言う言葉で「お金は使えば使うほど増える」というものがあります。ぼくもやっとそれが理解できるようになってきまし

 

お金を使えば使うほど新しい世界が見えます。新しい体験ができて、それによって自分が成長します。結果的にパワーアップするから、稼ぐ能力がもっとついて、さらにお金が増えるのです。  堀江さんがロケット打ち上げを成功させたら、前澤さんが宇宙に行ったら、誰も見ていない景色を見られるわけだから、そのぶんものすごい価値を得られるでしょう。そして、その体験をまたビジネスやサービスに落とし込むのだと思います。  究極的には、月に行くことも「インプット」なの

 

ぼくは昨年、数億円のアートを買いました。自分のなかではいちばん高い買い物です。ただの白黒のテキストが描かれたとてもシンプルな作品です。でもぼくはなぜか心惹かれた。バカだと思われるかもしれませんが、数億円の絵を買ってみたら、世の中の見え方が変わりました。  みんなはこれを「消費」と見るのですが、ぼくからすると「数億円という現金」を「同じ価値のモノ」と物々交換しているだけです。減っていないのです。アートを買ってみて、初めて「これは消費じゃない」という新しい感覚が身につきまし