272.動画2.0 VISUAL STORYTELLING 明石ガクト

YouTuberのファン、特に小さい頃から夢中になっている小学生や中学生は、テレビ番組を観ていると「かったるい」「CMまたぎで同じこと繰り返すのがいやだ」「何で最初から再生されないの?」というようなことを言うそうだ。 これは時間に対する情報量が濃いものを若年層が求めているということを示唆している。 この本

 

従来のテレビ番組が基本的には「テレビで放送すること」を絶対的な基準にして作っているということを考えると、IPTが濃いコンテンツは非常に作りづらい。テレビは番組の途中から観る人もいるだろうし、CMの間にトイレに行く人もいるだろう。だからCMまたぎにはCM前と同じフッテージを入れる。また観る人も子供からお年寄りまで様々だ。だから、会話はゆっくりとわかりやすくせざるを得ない。結果としてIPTは薄くなり、YouTube世代にはこれが我慢でき

 

しかも、テレビ番組における最も優先されるKPIは「視聴率」だ。テレビで視聴率を取るためには、40代以上の支持が絶対に必要になる。そしてIPTが濃い

 

に「ついていけてない」のも40代以上なのだ。 こうして、テレビは若年層からどんどん離れたものになって

 

今から数年後、具体的には5Gと8Kが普及するタイミングで、映像と動画のバランスが逆転する。 僕はそれを動画産業革命と呼んでいる。なんだかワクワクしてこないかい? この50年、テレビはメディアの王様

 

実際、Instagramで写真をUPする時にかけるフィルターは写真のデータを軽くするという目的がきっかけで考案されたアイデアだ。個性的なフィルターを

 

ことで、画質が多少落ちてもわからない状態になる。それにより、サーバにあげる写真のデータを圧縮することができた。 YouTube

 

一方、日本ではテレビ産業における放送、つまり「届ける」部分が免許事業となっていて、自分でメディアになろうという制作会社がそもそも出てこられない環境

 

しかし逆に言えば日本では、大きなチャンネルが七つしかないわけで、そこにぶら下がって制作を行ってさえいれば安泰とも

 

テレビ局と大手代理店が求めるものを作っていれば、番組制作でもCM制作でもビジネスは回る。何が悲しくて、おいしい既得権益を捨て、誰が見てくれるかわからない、ソーシャルメディアスマートフォンの世界に飛び込んでいかなければいけないんだ、という思考になる

 

しかしこの価値の源泉となっている視聴率に、歴史的な変化が起きている。 2018年4月から民放5局(キー局)のテレビCMの取引指標が世帯視聴率から個人視聴率に変更となった。世帯視聴率をベースとした現行の制度はテレビ放送の広告取引が始まってから一度も変更されたことがないので、今回の変更はまさに歴史的な出来事だ。

 

特に『ゲーム・オブ・スローンズ』の記録的大ヒットはすごかった。え? 知らない? おいおい「流行っていないのは日本と北朝鮮だけ」とディスられるのも納得だな!

 

そうやって若年層を中心にアメリカの生活に基本だったケーブルテレビを解約する人が増加している。この現象のことを「コードカット」という。日本と違い、アメリカではケーブルテレビに入らないとテレビには何も映らない。それにもかかわらず、2018年時点で3,300万人もの人が従来のテレビからすでに「卒業」している。

 

を戻そう。『三国志』を吉川英治の小説で読むと全部で8巻あって滅茶苦茶に長い。それが漫画だとたったの60巻だ。漫画60巻だと気合い入れれば1日で読める量だよね。

 

ヴィジュアルストーリーテリング時代に、日本で育ったクリエイターたちが持っている圧倒的なアドバンテージが、漫画の素養だと思う。小さい頃から、絵とテキストがセットになった表現を毎週、いや毎日読むなんてすごい英才教育じゃないだろうか。少なくとも1万時間の法則をクリアしている人の数で言えば世界一だと思う。 その証拠に、僕は相当の漫画読みだ。Kindleのおかげで物理的制約を受けなくなった分、歯止めが利かなくなった。これまで自分がAmazonに使った金額は怖くて計算できない。

 

クリエイターになれ!とこれだけ 煽っておいて、金の稼ぎ方を教えないのは違うよな。この本ではちゃんとそういうところまでカバーする。文字通り出血大サービスだ。 ・どこのプラットフォームで勝負するかを決める ・そのプラットフォームで輝くスタイルを考える ・スタイルを踏まえたエンゲージメントの高い動画を作り続ける

 

「自分はプロになれなかったから」 「趣味は趣味のままの方が幸せだから」 こんなのは、全部どうでもいい言い訳だ! 君がこの先、仮想通貨でもバーチャルYouTuberでもマグロ漁船でもなんでもいいけど、巨万の富を得たとしよう。 それでも君は、死ぬ直前に後悔するかもしれない。 本当にやりたいことから逃げているからだ。

 

さあ、今すぐこの本を投げ捨てろ。 君が次に見るべきものは、レンズの向こう側にある。 再生を止めて、録画を始めよう。 世界はこんなにもヴィジュアルに満ちているのだ