ここで大事なのは、決算を読む「量」を増やすこと。そして、時系列で同じ会社の決算書を読み続けることです。ある会社の四半期決算を1時間かけて分析するより、同じ時間で1年分の決算を流し読みする方が、発見が多いの
eコマース(EC)には、大きく分けて2つのビジネスモデルが存在し
一つ目は、Amazon(アマゾン)に代表されるような「直販型」です。直販型のECビジネスは、自社で商品を仕入れ(買い取り)、それを販売し
二つ目は、「マーケットプレイス型」です。マーケットプレイス型のECビジネスは、自社で商品を仕入れることはせずに、売り手と買い手のマッチングだけを行います。マーケットプレイス型の中には、楽天市場、Yahoo!ショッピングのような「店舗出店型」(売り手=店舗)のモデルと、ヤフオク!、メルカリ
フリマ型」(売り手=個人)と2つのモデルがあり
Googleは2012年に商品リスト広告をリリース済みです。調査会社のeMarketerがアメリカの小売りEC店舗における検索連動型広告の出稿種別を調べたところ、2014年第4四半期のアドワーズでは「テキスト検索連動型広告」が66%だったのに対して、「商品リスト広告」が20%となっていました。テキスト検索連動型広告の3分の1くらいが、すでに商品リスト広告に置き換わっている計算になり
【宅配便市場】 ・日本の宅配便は年間37億個(2015年) ・ヤマト運輸が17億個、佐川急便が12億個 【Amazonの宅配便】 ・Amazonの宅配便は推定2.5億個(日本の宅配便の6.7%) 【宅配便の単価】 ・個人向けは、平均的な段ボールサイズ(80cm)で関東~関西間980円 ・Amazonの宅配便は推計で1個200円程度
まず、この四半期に発表された基本的な数字を紹介しましょう。理由はこの後の節で述べますが、Amazonが最も重視する指標は売上でも利益でもなく「フリーキャッシュフロー」
日本の感覚で言えば、Amazonたった1社で、ヤマト運輸や佐川急便並みに
投資をしている、という感覚でしょうか。すごいの一言
スマートフォンが全体の57%を占めており、中でもスマートフォンアプリが50%と最も利用率が高くなっています。同じ調査で、「デジタルメディア利用時間におけるスマートフォンアプリのシェア率推移」を見ると、2014年7月時点では41%だったのが、2016年7月には
増えていました。これらのデータからも、スマートフォンユーザーはWebよりアプリの方が便利だと感じて、多くの時間を費やしているといえ
この四半期の数字を見ると、ネット売上が$21.5 Billion(1ドル100円換算で約2兆1500億円)、営業利益が$1 Billion(約1000億円)、営業利益率は4.66%でした。通年で見ると、ネット売上が$63.7 Billion(約6兆3700億円)、営業利益が$2.8 Billion(約2800億円)で、営業利益率は4.32%です。 この後にクラウド事業の営業利益率と比較するので、EC事業の営業利益率はだいたい「4.5%」と覚えておきましょう。
この四半期で見ると、ネット売上が$2.4 Billion(約2400億円)、営業利益が$687 Million(約687億円)、営業利益率は29%です。 通年で見ると、売上が$7.9 Billion(約7900億円)、営業利益が$1.86 Billion(約1860億円)で、営業利益率は24%です。 急成長中のクラウド事業なので、利益率は今後上振れする可能性がありますが、この四半期の営業利益率から「25%程度」と覚えておけばいいでしょう。
では、それでもなお、決算結果によって「減益」や「赤字」といった言葉を使って報道されるのはなぜでしょう。あくまで私の主観では、こうした記事のタイトルはミスリーディングだと思います。YoYで素晴らしい伸び方をしている事業を新たに作っているという点はもちろん、そもそもAmazonは利益を出すということをゴールにしていないからです。 そんなことが株式を公開している企業で許されるのか、という気もしますが、Amazonは上場以来、ずっと「利益を出すことをゴールにしない」「利益ではなく キャッシュフロー* を最大化するのがゴールだ」と言い続けています。 図2-21のスライドが、その象徴です。これは、同社が決算発表をする時、毎回最初に出てくるグラフです。
ジェフ・ベゾスCEOがAmazon第4の柱に据えようとしているのが、家庭内音声アシスタント事業
ビジネスのテイクレートは2.6%~3.3%の間 ・この決算時期でテイクレートが一番低いのは楽天カードで、最も高いテイクレートなのはクレディセゾン ・カードショッピング事業とカードキャッシング事業のテイクレートは、非常に大きな差がある
つまり、クレジットカードビジネスで最も収益を生んでいるのは「リボ払い」や「キャッシング」といった短期でお金を貸す事業だということです。これは、先ほど算出したテイクレートの比較を見ても明らかです。
キャッシングも同じ仕組みで、短い期間ではありますが非常に高い利息でお金を貸すというビジネスです。「リボ払い」や「キャッシング」では、法定利息ギリギリまで高い利息でお金を貸すことができるため、貸し倒れリスクを十分管理できて
を確認しましょう。はじめにPayPalの2016年10-12月期決算を見ると、
クレジットカードビジネスのテイクレートを分析した前の記事でも、「最も収益性が高いのは『リボ払い』や『キャッシング』といった短期でお金を貸す事業」と書きましたが、同じような結果が出た形です。
テイクレート(営業収益÷取扱高で算出)を比較すると、 ・クレジットカードビジネスは2.6~3.3% ・個人間送金ビジネス(PayPal)は2.6~3% ・店舗決済端末ビジネス(Square)は3.3% ・金貸しマーケットプレイスビジネス(LendingClub)は5.7~6.5% ● クレジットカードビジネスの中で最も収益性が高い事業は、「リボ払い」や「キャッシング」といった短期でお金を貸す事業である ● 一般的に「トランザクション」機能より「金貸し」機能の方がテイクレートは大きくなるが、その分リスクも大きい
EBITDA……Earnings before Interest, Taxes, Depreciation and Amortizationの略。金利や税、有形固定資産の減価償却費、無形固定資産の償却費を引く前の利益を
ライフタイムバリュー* で言いますと、大変正直に申し上げますと、ECよりも圧倒的に金融サービスの方が高い」 「ECでポイントを増配することによって、金融サービスなどで収益をさらに上げていく、という流れについては非常にうまく行って
楽天カードや楽天銀行といったFinTechサービスは、ユーザーがいったん使い始めたら離脱しにくいため、常にAmazonやYahoo!ショッピングと比較される楽天市場に比べてライフタイムバリューが高くなる、というのは納得できます。
これまでの楽天にとって 国内EC=利益を生み出す「稼ぎ頭」 だったのが、図3-14によれば 国内EC=(優良)会員獲得の入り口 という具合に位置づけが変わっています。楽天はFinTechビジネスで稼ぐ自信があるからこそ、国内ECの短期的な減益もやむを得ない、ということでしょう。つまり、楽天の「ECポイント消耗戦」
先にある戦略は、「FinTechで稼ぐ」になるの
・1万143円の買い物代金を、2カ月後の支払いにすることで、324円の手数料がかかるので、金利は「2カ月あたり3.19%」となる ・これを年利(12カ月)に直すと20.76%という非常に高い金利になる(※3.19%を複利で6回=12カ月分借りると20.76%) ・つまり、「ツケ払い」は「年利20.76%のリボ払い」とほぼ同じ
の金融商品と
ここで、少し余談を。リクルートという会社は、1980年代に「リクルート事件」という大きな贈収賄事件を起こしたこともあってか、最近まで文字通り「借金ゼロ」の状態であそこまで大きくなりました。 一時期、2兆円くらいあったと言われる有利子負債を全部返して、それでいて巨額の企業買収を立て続けにやるだけの資金を稼いだわけですから、すごい会社です。 時価総額が1兆円を超えているのに、借入がほとんどないのは驚異的ですし、違った見方をすればバランスシートをうまく使ったビジネスが下手だった、とも言え
元手となる資本を必要としない事業
利益を生み出すという意味では、右に出る者がいないリクルートが、融資のような「バランスシートで勝負する商売」をどうやって軌道に乗せるのか、個人的には非常に注目してい
このパターンを説明するには、楽天の例を取り上げるのが一番いいでしょう。楽天グループの2015年12月末時点の連結バランスシート(図3-21)を見てみると、楽天銀行での「預金」が1兆4655億円ある一方で、楽天カードの「貸付」が8321億円と明記してあります。見事にバランスしています。
つまり、銀行業でお金を預かって、カード業でお金を貸す、という形にすることで、バランスシートが無理なくバランスするような仕組みになっているのです。 実際
多くのクレジットカード会社が、銀行の子会社として設立された背景はここにあると考えられ
実際、ヤフーも
準備をしているように見えます。2014年4月に三井住友銀行の子会社だったジャパンネット銀行の株式を取得し、筆頭株主(三井住友銀行と同数)となり、ジャパンネット銀行はヤフーの持分法適用関連会社になりました。従って、そう遠くない日に、ジャパンネット銀行の株式を買い増して、連結にするのではないかと予想されます。 紹介してきた2つの
見ていただければ一目瞭然ですが、自動車の製造販売事業よりも、金融事業
方が、営業利益率が非常に高いことがわかります。また、営業利益の絶対額においても、金融事業の営業利益が、自動車の製造販売事業の利益の10%を超える水準まで高くなっていることがわかります。 日産は自動車の製造販売の営業利益率が他社よりも低く、一方で金融事業の営業利益率が他社よりも非常に大きいというのが特徴的です。カルロス・ゴーン氏による改革のプロセスで、より営業利益の高い金融事業を、最適化して行った可能性も十分考えられ
このように、自動車会社による金融事業・ローン事業は、非常に収益へのインパクトが大きいビジネスです。現時点ではTeslaは、第三者の金融機関とパートナーシップを組んでローンを提供していますが、自動車製造販売事業での赤字が解消され、貸借対照表が綺麗になって
タイミングで、このようなFinTech事業を自社で提供してくる可能性が高いのではないかと考えてい
NHKが2016年2月17日に発表した「2015年国民生活時間調査」によると、2015年のテレビ行為者率は85%だったそう
・毎日、日本の全国民の85%がテレビを観て
伸びているそうです。地上波テレビがリーチしにくくなったと言われる若年層にリーチできているという点は、広告商品を販売していく上での差別化につながります。これも、AbemaTVの強みになるでしょう。
Netflixがすごいのは、郵送DVDビジネスでシェアNo.1だったにもかかわらず、自ら率先して動画ストリーミングビジネスに事業を転換した点です。通常、シェアNo.1のプレーヤーは「イノベーションのジレンマ」に陥り、事業転換が遅れがちですが、見事な事業転換を果たしました。
携帯キャリアがMVNOに回線を開放すれば、MVNO事業者が増えます。当然MVNO事業者は低料金で参入するので、キャリアの携帯料金も下がりそうなものですが、現実にはそうはなっていません。 一番大きな要因は、多くのMVNO事業者が、携帯端末の分割払いに対応していないからでしょう。
スマートフォンが高度化するにつれて、端末の値段は高騰しています。例えばiPhoneは10万円近くする超高級機種で、見方によってはノートPCよりも高価だとも言えます。 この10万円近い高級品を一括払いで買える人は非常に少ないと考えられます。ましてや、既存の携帯キャリアが分割払いでの支払いに対応している中、わざわざ一括払いで買うユーザーは限られるでしょう。 この「端末の分割払い」が解決しない限り、MVNO事業者が大きくシェアを奪うのは難しいのではないかと考えています。楽天モバイルがMVNOでシェアを増やしているのは、いち早く端末の分割払いに対応したからでしょう。3章のFinTechビジネスでも説明したように、金融ビジネスを持っている楽天であれば、携帯端末の料金を分割払いにするのはさほど難しくなかったはずです。 楽天モバイル以外