222.トップアスリートが実践 人生が変わる最高の呼吸法 パトリック・マキューン、桜田直美

起きているときも寝ているときも、慢性的に口呼吸をしている人は、疲労感、集中力や生産性の低下、不機嫌などの症状があるといわれている[5]。口呼吸は、質の高い生活にも、効果的なエクササイズにもつながらないということがよくわかるだろ

 

またカトリンは、先住民の子供は入植した白人の子供よりも、かなり病気が少ないということにも気がついた。彼は1882年に『口を閉じて長生きする(Shut Your Mouth and Save Your Life)』というそのものズバリのタイトルの本を出し、そのなかで次のように言っている。 「荒野に暮らす貧しい先住民の女性は、授乳が終わると、眠りに就こうと

 

赤ん坊の唇をつまんで口を閉じる。そのようすを見た私は思った。 『これはすばらしい育児だ! このような母親は、皇帝の乳母に雇うべきで

 

どうやら100年たっても、事情はそれほど変わっていないようだ。  むしろ、口呼吸がさらに広まったほどだ。ヨギ・ラマチャラカは同書の最後に、 「文明人がよくかかる病気の多くは、間違いなくこの口呼吸の習慣が原因になっている」  とまとめて

 

自分が鼻呼吸で眠っているかどうかは、朝起きたときの口の中の状態でわかる。自然な感じで湿っていたら、きちんと鼻呼吸をしている証拠だ。口呼吸で寝ていると、起きたときに口の中がカラカラに乾いて

 

有名な気功と太極拳のマスターであるクリス・ペイによると、中国に伝わる「気」という考え方の核は呼吸だという。 「一般的に、呼吸には3つのレベルがある。第1のレベルは、隣の人に聞こえないぐらい静かに呼吸すること。第2のレベルは、自分にも聞こえないぐらい静かに呼吸すること。そして第3のレベルは、自分でも 感じない ぐらい静かに呼吸することだ[1]」

 

走っているときに、呼吸を完全にコントロールできるかどうかが重要になる。  このとき口を閉じたまま走るのは苦しいと感じるなら、それはペースが速すぎるということ

 

このとおり、簡単なものだ。あるいは、市販されている炭酸水を飲むという方法もある。炭酸水を飲むなら、炭酸水でない普通の水も十分に飲むことを忘れないように。1日に必要な水分量を守るようにしよう。尿の色を見れば、水分が足りているかどうかがわかるだろう。色が濃すぎるなら水分が足りず、1日を通してずっと透明なら水分が多すぎるということ

 

だが、ときにはたったそれだけで、試合の結果が大きく変わることもある。スポーツの敗戦は、スキルや体力の不足よりも、自分自身の思考が原因であることが多い。たいていのアスリートは、実力が出せなかった試合をふり返り、「気持ちが入っていなかった」というような説明をする。「フロー」の状態になるために精神を鍛えるのは、肉体を鍛えるのと同じくらい大切なのだ。アスリートなら誰でも知っていることだが、たった1つの思考が、目の前のタスクを遂行する妨げになることも

 

現代に生きる私たちは、SNSを使って人と交流したり、ゲームをしたり、ネットサーフィンをしたりする時間が増えているために、集中力の持続時間が短くなっている。

 

ジャーナリストのニック・ビルトンとのインタビューで、子供はアップル製品が気に入っているのかと尋ねられると、ジョブズは「うちの子供は使ってないよ。わが家では子供に与えるテクノロジーを制限しているんだ[5]」と答えた。  ジョブズの同業者で、同じ考えの人はたくさんいる。自分の子供

 

ネットやゲームの時間を厳しく制限しているのだ。やりすぎの影響を知りすぎるほど知っているからだろう。ネットやゲームの中毒のような状態になると、現実の世界から切り離されてしまう。人との交流が少なくなり、頭ばかりが活発に動いている状態だ。  過活動の状態にある脳は、集中力も生産性も下がる傾向がある。それに加えて、ストレスが大きくなり、抑うつ状態になりやすい。そういったことは、すべて精神疾患の原因になり、全体的な生活の質を低下させる。  精神をコントロールし、落ち着かせる能力はとてつもなく重要

 

彼の成功の秘密は何か? ギグス本人によると、長く現役を続けられた理由は「セルフ・アウェアネス(自己を正しく認識すること)」だという。 「自分に集中することはとても大切だ。たとえ1日に1時間のストレッチと瞑想だけでもかまわない[6]」と、ギグス

 

どんなスポーツでも、直感的にプレーするには完全にゾーンに入る必要がある。正しい動きが自然に生まれ、競技と選手が1つになる状態

 

大きな変化や成功を実現した人は、みな直感的な知性にアクセスできた。何の訓練もせずにできる人もいれば、訓練が必要な人もいる。直感的な知性の持ち主として、まず思い浮かぶのはスティーヴ・ジョブズだろう。伝記を書いたウォルター・アイザックソンとのインタビューで、ジョブズはインド人の直感について話している。インドでは、合理的な分析に頼る欧米とは違い、直感で物事を決めることが多いという[

 

それは、瞑想の利点が科学的に証明されるようになってきたからだ。精神を落ち着かせると、ストレスが高まるような状況でも、不安がなくなり、集中力が増す。

 

戦争、ビジネス、スポーツ、または家庭生活でさえ、静かで、落ち着いて、集中力の高い精神は、いつでも優れた判断力を見せる。ストレスの高い状況で正しい行動を選びたいなら、100パーセントの集中力を維持することが不可欠だ。  最近まで、

 

自分の精神の動きを観察するのは、とてもポジティブな行為だ。いかに精神が活発に動いているか自覚できるだろう。この気づきが、じゃまになる思考の罠から解放され、集中力を向上させる第一歩に

 

一度立ち止まり、自分の思考をじっくり観察してみると、同じことばかり考えていることに気づくはずだ。ただし思考の内容を分析する必要はないし、批判する必要もない。そんなことをすると、じゃまな思考がさらに増えるだけだ。分析したところで、頭の中の声は絶対に静かにはならない。それに、そもそも考えすぎること自体が問題なのだ。

 

このぐるぐる回る思考から抜け出すには(つまり、自分の頭から抜け出して現実を生きるには)、頭の中の声を黙らせる方法を身につけなければなら

 

それには1日に何度か、自分の思考を意識的に観察するといい。これを習慣にすると、自分の精神という強力なツールをコントロールできるようになる。  頭の中がすっきり片づいているかどうかは、人生の質に大きな影響を与える。精神が落ち着いていれば夜ぐっすり眠れるし、気分の変動が少なく、健康になる。逆にじゃまな思考が頭の中を占領していると、せっかくの能力を発揮できなくなる。ネガティブ思考に頭の中を占領されているときは、自分の思考の観察が重要になる。

 

この簡単な質問をするだけで、もっと人生を自覚的に生きられるようになる。思考の観察を続けていれば、やがて無益な思考にエネルギーを浪費

ことも少なくなっていくだろう。頭の中がすっきりし、体がリラックスして、人生も生きやすくなる。そして自分の周りで起きていることに、もっと敏感に気づくように

精神を静かにしようと思っても、最初のうちは、いつもの思考が数秒

頭に入ってくるかもしれない。だが、それはそういうものだと思って受け入れよう。これまで何年もかけて築いてきた思考のクセなのだから、そう簡単には消えてくれないのが普通だ。教育、宗教、社会、人間関係、仕事など、これまでの人生で受けたあらゆる影響が重なり合い、あなたの思考ができあがっている。つまり、悪い習慣を身につけてしまったの

 

瞑想を始めたばかりのころは、余計なことを考えてしまってもイライラしてはいけない。それは仕方のないことなのだ。それでも多くの人が、すぐに効果が出ないという理由で瞑想を簡単にあきらめて

 

瞑想中は、自分の思考を自覚することがいちばんの目標だ。  自分の思考を観察し、「今、ここ」だけに意識を集中する。思考が浮かんでは消えることもあるだろう。それが人間というものだ。余計なことを考えていることに気づいたら、そのたびに呼吸に意識を集中するか、または体の内部に意識を集中

その3つとは、「呼吸を軽くすること」「体の内部と一体になること」「『今、ここ』に集中すること」だ。この3つのテクニックのおかげで、

の質が向上し、無駄な思考がなくなり、直感的な知性を活用できるようになったうえ、仕事で創造性を発揮できるようになっ

 

定期的に瞑想を行っていると、頭の中の声が減っていくのに気づくだろう。過去のことをくよくよ悩まず、未来の心配もしない。精神が明晰

目の前の瞬間に集中

瞑想を始めて 15 年の間で、私は何度か「高貴な静寂」を経験した。高貴な静寂とは、 10 日間、朝5時に起きて夜8時に寝るまで、ずっと瞑想していることだ。  その間は、車のキーも、パソコンも、電話もいっさい触らない。高貴な静寂の間は、舌も精神も静寂が求められる。つまり、話さず、考えないということだ。そして 10 日間が終わると、精神は静かで落ち着き、 剃刀 のように研ぎ澄まされて

 

瞑想の初心者なら、たとえ 10 分でもいいのでとにかくやってみよう。毎日 10 分、自分の呼吸に集中するのを習慣にすれば、人生が大きく変わるのを実感できる。2週間、つねに自分の呼吸を意識するようにしてみよ

 

ここで大切なのは、瞑想の時間を長くすることではなく、普段の生活で呼吸を意識する回数を増やすこと

 

自分の内部に意識を集中するには、思考の呪縛を離れ、人体という奇跡と一体になる必要がある。人間の体を動かしている知性は、頭の中にある知性よりもずっと優秀

 

人体には偉大な自然の知性が宿っていて、私たちの誰もがその知性にアクセスできる。ただ無駄な思考にじゃまをさせなければいいだけだ。終わりのない思考から抜け出し、体の内部に意識を向ければ、そこにある静けさと知性を活用することが

 

呼吸を意識し、体の内側に神経を集中すれば、目の前の瞬間と一体になることができる。

 

過去の出来事、心配事、「もし〜だったら」という思考にばかりとらわれていたら、現実の人生を生きることはできないだろう。 「今、ここ」に意識を集中する簡単な方法は、周りの環境と一体になることだ。

 

具体的には、五感を使って周りを感じ取る。見えるもの、聞こえるもの、触れるもの、味、匂いだ。観念的に捉えるのではなく、五感で物理的に感じるのだ。

 

筋肉がすべてリラックスしたようすを具体的に知りたかったら、チーターが全力で走る姿を見るといい。足の筋肉から完全に力が抜け、まるで流れるように駆け抜けていく。  チーターがあんなに速く走れるのは、体にまったく力が入っていないから

 

次に走るときは、頭をいっさい使わず、体だけで走ってみよう。走っている間は、頭がなくなったつもりになるのだ。そして頭以外のすべての細胞を使って走る。体の動きと一体になり、走るという行為と一体になる。  動きながら筋肉を完全にリラックスさせると、ゾーンに入ることができる。  日常で思考にじゃまをされない瞬間が増えるほど、試合でゾーンに入るのが簡単になる。

 

太りすぎの人は、たいてい呼吸法も間違っている。たとえば、慢性的な呼吸過多、ため息が多い、口呼吸で胸呼吸といった状態になっている。一般的に、余分な体重が増えると呼吸が荒くなる。運動時だけでなく、安静時でもそうだ。

 

血液が酸性に傾く原因は、加工食品や体を酸化させる食品を食べたときだ。すると「呼吸量の増加」「膨満感」「倦怠感」「体重増加」などにつながる。

 

アルカリ性に傾き、pH値が7・45以上になる。  このことから、呼吸過多と体重増加の関係について、1つの仮説が考えられる。  アルカリ性に傾いた体を元に戻すために、酸化するような食品を体が求めるということだ。したがって、正しい呼吸と、正しい食生活を両立すれば、血液のpH値を正常に保つことができるだろう。

 

一般に体をアルカリ性にする食べ物が健康にいいといわれている。たとえば果物や野菜だ。逆に、動物性タンパク質、穀類、加工食品は、体を酸性にするのであまり食べてはいけない。とはいえ、何が体にいい食べ物かは、たいていの人は知っている。問題は、加工食品や甘いものの誘惑に勝てないということだ。

 

それは疑似高地トレーニングの効果だ。1957年以来、科学の世界では、標高の高い場所にいる動物は体重が軽くなるということが確認されている。人間でも、シェルパなど高地に暮らす民族は、低地の民族に比べてスリムになる傾向がある[1]。

 

ストレスがたまると過食になるというのは、よく知られた現象だ[7]。食べ物には、気を紛らわせたり、寂しさを慰めたり、怒りを静めたりする働きがある。

 

この他、魚や青野菜、ダークチョコレート、赤ワイン(1日にグラス1杯が適量)、ザクロジュース、緑茶、紅茶、オートミールにも、一酸化窒素を生成する働きがある。  逆に量を減らしたほうがいい食品は、肉と加工食品

 

から 50 年前は、生活も仕事も今とはまったく異なり、そして喘息患者もはるかに少なかった。そのころのライフスタイルをふり返ってみると、自然な食品を食べ、競争のストレスも少なく、家の中は風通しがよく、たいていの人が肉体労働に従事してい

 

・口から吸った空気はフィルター機能を持つ鼻を通っていないので、空気中の汚染物質や、細菌、バクテリアがそのまま肺に入る[ 12] ・吸った空気を適正な温度と湿度にするのは、口よりも鼻のほうがずっと得意だ[ 13] ・鼻の穴よりも口のほうが大きいので、口呼吸では呼吸量が多くなり、大量の二酸化炭素が吐き出される(二酸化炭素には気道を

 

・鼻呼吸と違い、口呼吸では一酸化窒素の利点を活用することができない[ 14](一酸化窒素には肺を守る働きが

 

社会人類学でも、人間の社会的ランクや役割は顔で決まると考えられている。つまり、美しさは表面だけの話ではないということだ。  アリストテレスも、「美はどんな言葉よりも効果のある推薦状だ」と言っている。  口呼吸の