199.項羽と劉邦 横山光輝

6.

昔より天下を治めるは徳にありて剣にあらずと申します。

巨富のものは蓄えておごらず

勢い強きものは弱気を示して力を隠します。

これ識見高き者のなすところでございます。 張良

 

8.

守るには静をもってし 兵を発するは動を旨とす 

兵の未だ出ざるときは山のごとく 兵を一旦動かさば江河のごとく

変化すること天地のごとく 号令を出すは雷のごとく

そして賞罰は朝昼暮夜常に行いまする 韓信

 

昔より兵を用いるに大切なことは機を見て動き水が流れて物を包むようなものです。

戦ってみて勝つ方法を見つけるのです。

鬼神といえども戦う前から勝つ予測はできませぬ

相手を見て妙計を考えるのです。 韓信

 

17.

昔の話を例に取り申し上げましたが、韓信を解任するなど少し虫食いが有ると言って全部捨てるようなものです。

 

18.

こういう言葉がございます。「狡兎(うさぎ)死して良狗(猟犬)烹られる」「飛鳥尽きて良弓しまわれる」と。

天下が治まれば大王は必要がなくなるのです。 蒯通

 

「功成り難くして敗れやすく 時は得難くして失いやすし」です。真の知とは決断することです。 蒯通

 

20.

項羽の欠点はどこが必要でどこが重要な土地かわからないことにある

咸陽を捨て彭城に都を移し 魏を守らず徐州を守ったこと 補給路を考えれば豪槍を確保しなければならなかったのにそれをしなかったことでもわかる

項羽は強兵に頼るだけの男だった。 張良