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129.潜在能力を最高レベルに引き出す「変性意識入門・催眠編」 苫米地英人

催眠術は術者の腕もありますが、同時に被催眠者側の準備も重要なのです。  なぜなら、催眠とは自分で自分にかけるものだからです。言葉を変えればすべての催眠は自己催眠なのです


人間は自分の身体を守るために能力を解放しきらないようにリミッターを設けているのです。催眠はそれを解除することで通常では出ない力を発揮させています。  これが火事場のバカ力の正体ですが、リミッターは必要だからあるわけで、そこを理解しないと腕相撲マシンで腕を折る酔っぱらいのようになってしまいます。 


ですから潜在能力を引き出すときは慎重の上にも慎重をきしてやる必要があるでしょう。  できれば、術者に見てもらいながらやるのが理想です。  もちろん、慣れてくれば自分でコントロールしながら、潜在能力を解放することは可能になりますから、十分に研究、修行しておいて損はありません。


ホメオスタシスとは、身体の状態を一定に保つための機能で、具体的に言えば、暑くなってきたら身体から汗を出す、寒くなれば毛穴がしまって熱を逃さないようにする、といった外部環境に対する人体の反応です。  生物ならば必ず持っている生命維持の機能ですが、高度に脳が発達した人間は現実世界だけでなく情報空間にもホメオスタシスを適応させることができます。  サスペンス映画を見ながら手に汗を握る。酸っぱい食べ物を想像しただけで口の中にツバが湧いてくる。こういったことは情報空間に対してホメオスタシスが働いた結果で


さきほど紹介した小説を読みながら涙を流すこともホメオスタシスの適応であり、その際、スイッチになるのはそれが現実か、情報空間かどうかではなく、臨場感です。臨場感をより感じる世界に対して、ホメオスタシスは発動するということです。  つまり、脳にとっては現実世界と情報世界の区別はなく、臨場感を感じたほうに機能するだけだったのです。  だから、人はいとも簡単に変性意識状態になってしまうのです


要は、「おいしい」という味覚情報は嗅覚、視覚、聴覚といった情報を統合したものなのです。  ですから、甘いモノを酸っぱくする。その逆に辛いものを甘くする。おいしいものをまずくする、まずいものをおいしくするなどは、脳内情報の書き換えだけで簡単にできるのです


実は、人間は一旦、変性意識状態になってしまうと、誰でもとても素直になってしまうのです。言われたことをそのまま丸ごと受け入れてしまいます。  その理由をわかりやすくいえば被催眠者は、この時、幼児のようになっているということです。  どんな動物も幼児の時は親のいうことを聞きます。できる、できないは別にして親の言葉どおりにしようと最大限努力します。  なぜなら、そうすることが最も生存の確率を高めるからです。  つまり、術者の言いなりになる理由はただひとつ、動物としての摂理に従っているからです。変性意識状態とは素直な幼児の心で、そこに暗示を入れるから、それを実現させるべく全力で取り組むのです。だから、潜在能力が発揮されるのです


自分はダメな人間だという思い込みがベタっと貼り付いているのを剥がす。自分は気が弱い、自分には才能がないという思い込みを剥がす。そうやって、自分はダメだ、ダメだと言って回っている悪い思い込みを剥がしていき、こんなものは本当の自分じゃない、自分が作り出した単なる思い込みなんだということを理解していくものが催眠療法の概念です。  思い込みを剥がしていくと、最終的には素直で正直な素の自分が出てきます。自分の中から出てきた気付きが魂、良心であり、それが人を本当に癒やす力になります


催眠を極めれば極めるほど、すべての答えは自分の中にある、ということがわかります。本当は自分の身体も心も自分の好きなようにできるのです。それを通常は努力というような言葉で表します。東大生がなぜ東大に入れたのか? それは努力したからです。しかし、催眠術者の目から見ると、「しっかり思い込めたから」ということができます。いくら才能があっても思い込めないと能力は発揮できません。思い込めれば、自分が持っている力、潜在能力も含めて、最高の力を発揮することができます。  リソースはすべて自分の内側にあるということです。


病気でいえば、医者のほうにも問題があります。「今日は顔色が良くないですね」なんて言葉を平気で言ってしまう医者はうかつですよ。これはいわゆる「白衣の暗示」で、医者に言われたら、患者はそういう悪い暗示に引っ張られてしまう。だから、たとえそう思ったとしても、患者に向かって言ってはいけない言葉です。ボクは何人もお医者さんに催眠術を教えていますけど、「白衣の暗示」から教えます。 


催眠とは良いイメージを持ってやればこれほど素晴らしいものはないですよ。人生をバラ色に変えることが本当にできます。  その一方で、人間は悪いふうに考えてしまいがちなところがある。我々術者はそういう人を明るいイメージに持っていくことが仕事じゃないかと思っています。


もう1つ、東大生と官僚が催眠にかかりやすい理由は、言葉に対する感受性が高いということです。  基本的に彼らは情報の暗記を得意とします。情報とは言葉で構築されたものであり、特に受験勉強における情報は言葉そのものです。  彼らは言葉を暗記し、臨場感豊かに構築できたから受験勉強を勝ち抜けたのです。単に単語を暗記したままではダメで、暗記した単語を情報空間の中で立体的に動かせるぐらいになって東大に入れるようになります。単語を暗記しただけでは基礎的な問題しか解けませんが、立体的に動かせるようになると、高度な応用問題が解けるようになるということです。  私の見るところ、南先生の催眠スタイルは言語派で言葉を駆使して相手を変性意識状態に誘導するものです。言語に対する感受性の強い東大生たちを相手にして失敗したことはない、というのもわかります


催眠はあなた自身の人生を高めるために使えば、これほど強力なツールはありません。  仕事や勉強、スポーツなどすべての作業には、それにふさわしい意識状態があります。暗記に必要な変性意識状態、運動のパフォーマンスを上げるための変性意識状態、IQを上げるための変性意識状態など。こういったものは催眠の技術を使えば、簡単につくりあげることができます。それだけでなく、あなたの能力そのものを飛躍的にアップさせることもできるのです。  なぜなら、ほとんどの人が自分の能力を自分で「このぐらい」と決めているからです。なぜこのぐらいと決めつけているのかといえば、学校教育や、親からの教育によって、それ以上は無理だと言われてきたからです。  しかし、それは本当でしょうか?  そもそも教師や親はあなたの能力の限界をどうやって知ったのでしょうか?